A:ご質問の方の場合は、堅牢なつくりの靴を履き続けたところ、外反母趾になったとのことですが、きつい靴は足や足の指を変形させます。外反母趾は、足の親指が外側へ曲がった(外反した)状態をいいます。
そもそも、人の手足は、曲がる筋肉(屈筋)のほうが伸ばす筋肉(伸筋)よりも強いものです。そのようにできていますから、手や足の指は曲がりやいのです。ちなみに、赤ちゃんは指を握っているものですが、これも同じ理由によります。
足の指が曲がると、土台(土踏まず)が崩れてきます。特に、足の舟状骨(足の指の骨と踵の骨を結んでいる骨)が内側へ倒れた格好になります。
これを改善するには、「ひろのば体操」で足指をそらして伸ばすことが必要です。つまり、もともと曲がりやすい性質の足指を伸ばすのです。
●ひろのば体操がお薦め
外反母趾の人は、親指に力を入れて歩いていないものです。親指に力を入れて歩けない人が多いのですが、これは他の指が屈み指になっているからです。ですから、それらの指を伸ばすと足の親指の働きがよくなります。
「ひろのば体操」は、手の指を足指の間に入れ、手の指を使って足指を足の甲側と裏側に曲げ伸ばしする運動で、次のように行います。床に腰をおろしたり、椅子に座ったりして、あぐらをかいて行います。
足の指の間に手の指を挟みます。このとき、手と足の指の間はすき間を開けてください。足の指の付け根のところで、手の指を軽く握ります。そして、反対の手でかかとのあたりを軽くつかみ、固定します。
この体勢から、足の甲の側に足の指をぎゅーっと反らします。時間は5秒程度です。続いて、反対側に同じように足の指をそらします。それを1回に数え、合計20回を目標にして行いましょう。
親指などの足指の変形の改善には数カ月かかることが多いですが、痛みは数週で取れることがあります。ご質問の方もぜひ、「ひろのば体操」を行ってください。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。