松山は、参議院議員選挙の長野選挙区の自民党立候補者で、親交のある松山三四六氏の応援演説に駆けつけた。その場で約40秒間にわたって、名曲『大空と大地の中で』を歌い上げた。
プロの歌は、本来はお金を払って鑑賞すべきもの。それを有権者に無償で提供した場合、買収及び利害誘導罪で公職選挙法に抵触するおそれがあると記事では報じている。過去には森進一も選挙応援で『襟裳岬』を披露し、同様の報道がなされたが、実際に検挙には至っていない。
>>立憲民主候補者、ポスターに画像無断使用で炎上?「デザイン段階のもの」釈明するも指摘相次ぐ<<
公職選挙法には多くの定めがある。過去にはどういったケースが摘発されているだろうか。
元傭兵の肩書で『サンデージャポン』(TBS系)に出演していたタレントのテレンス・リーは2016年の参議院議員選挙で、幸福実現党の立候補者だったトクマ氏の応援演説を行い、報酬として現金10万円を受け取った。これにより公職選挙法違反(被買収)容疑で逮捕され、執行猶予付き懲役刑と追徴金の判決を受けている。選挙活動の報酬は原則無報酬で、交通費などの実費などに限られている。つい受け取ってしまった、知らなかったでは済まされないのだ。
2021年の衆議院議員選挙では、千葉県多古町の現職町長であった所一重氏が公職選挙法違反(公務員の地位利用など)の疑いで逮捕された。所氏は複数の職員に特定候補への投票を依頼したとされる。その行為に使われたのがSNSサービスであるグループラインだった。ただし、ラインやフェイスブックを活用した投票依頼は不正ではなく、所氏の場合あくまでも町長という立場を利用した投票依頼が問題とされた。それでも、公職選挙法では有権者の電子メールや携帯のショートメッセージ送信による投票依頼は禁じられているため、非常にややこしいものとなっている。
同年の衆院選では、長野県の特別養護老人ホームの理事長らが公職選挙法違反(投票干渉)の疑いで逮捕されている。このケース以外にも、老人ホームの職員が入居者になりすまして不在者投票などを行い、検挙されるケースが相次いでいる。認知症などが進み意思表示が困難な老人に対し、特定の候補へ投票するように誘導する動きが一部であるのだろう。
知らなかったでは済まされないのが公職選挙法違反。正しい行動を心がけたいものだ。