むしろ2着だったイクイノックスの方が伸びしろがある。東スポ杯2歳Sから5か月ぶりとなった上、終始外目を回るロスがありながら勝ち馬とは0秒1差とわずか。跳びが大きく中山よりも東京向きで、瞬発力が求められる舞台のダービーでは明らかにパフォーマンスを上げるだろう。
もう一頭ダービーでパフォーマンスを上げる可能性が高いのが4着だったダノンベルーガ。元々右トモが弱かったため、右回りの中山でおこなわれる皐月賞でベストパフォーマンスをするのは難しいと見られていたが、それでも勝ち馬から0秒3と着差はわずか。しかも開催最終週で荒れた内馬場を通らなければならない1番枠からの競馬でこの着差だから、実質1番強い競馬をしたのはダノンベルーガかもしれない。
3着だったドウデュースは、結果的に位置取りが後ろ過ぎて届かずだったが、4角2桁の位置から唯一掲示板に載っており力は見せた。ただ、馬体の印象からは更に距離が延びて良いというタイプには見えず、ダービーでパフォーマンスを上げるかと言えば難しいかもしれない。
次にトライアル組だが、この原稿を執筆している段階では青葉賞や京都新聞杯、プリンシパルSの結果が出ていないため出走予定馬での話となるが、青葉賞出走予定組からはジャスティンスカイに注目。前走のフリージア賞では、5か月半ぶりの出走で馬体重は+22kgと、数字だけ見れば明らかに休み明けのひと叩きといった印象を受けるが、実馬を見れば確かにきっちりと仕上がったという馬体ではなかったものの、ほとんどが成長分と言えるものだった。レースではまずまずのスタートから二の脚良くスッと2番手の位置を取ると、直線では力強く抜け出して優勝。最後は詰められていたが、5か月半ぶりで余裕残しの仕上げだったことを考えれば、さらにパフォーマンスを上げる可能性は高く、本番でも面白い一頭になるかもしれない。
京都新聞杯出走予定組からは2連勝中のブラックブロッサムを取り上げたい。兎に角前走の大寒桜賞のパフォーマンスが圧巻だった。スタートを決めて3番手の位置を取ると、4コーナーで早くも先頭に立ち、直線で追われると後続をあっという間に引き離し、2着馬に1秒3もの着差を付ける圧巻の走り。年明け3歳デビューと遅れてきた大物候補で、キャリアは浅いがその分伸びしろも計り知れない。京都新聞杯でのパフォーマンス次第では、皐月賞組を脅かす存在になる可能性は十分。
プリンシパルS出走予定組からは前走で圧勝したショウナンマグマに注目したいが、正直皐月賞組と比べると厳しいと言わざるを得ない。
以上、各レースから注目馬を取り上げてきたが、やはり有力は皐月賞組からイクイノックス、ダノンベルーガあたりが最有力で、そこへ今回は取り上げなかったが、皐月賞は仕上がりイマイチで13着に敗れたキラーアビリティがどこまで状態を上げて来るか。次に皐月賞馬ジオグリフが続き、ブラックブロッサム、ドウデュース、ジャスティンスカイあたりが上位争いと見る。
<プロフィール>
ハッシー
山梨県出身。北海道・浦河にある生産牧場での牧童経験を活かし、馬の適性を見極める。特技は寝わら上げ。本サイト毎週火曜掲載の「ハッシーの地方競馬セレクション」、金曜掲載の「ハッシーの中央競馬新馬セレクション」も担当している。