国会議員の高齢化はかねてより問題となっており、2003年には総理大臣だった小泉純一郎氏が「73歳定年制」を打ち出した。これは衆院選の比例代表の単独立候補者を選定する際に厳密に導入されたものだ。自民党ではこれに先駆けて、参議院比例で70歳定年制を導入していた。参議院の任期は6年のため、70歳で立候補し当選すれば76歳となることを考慮した数字だ。衆議院の任期は平均3年のため、参議院に同じく76歳まで務める前提で設けられたものと言えるだろう。
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この基準に引っかかったのが、当時85歳の中曽根康弘氏と83歳の宮沢喜一氏だった。どちらも総理大臣を経験した重鎮の大ベテラン議員だ。宮沢氏は小泉氏の要請に応じたものの、中曽根氏は「君が言うことではない」などと激しく反発したとされる。2019年に中曽根氏が101歳で亡くなると、当時の経験について、小泉氏が「嫌なことを言いに行くのは気が重かった」と振り返っている。
それでも、比例代表は小選挙区と異なり、「政党の議席」といった色合いが強いため、小泉氏が強く主張する根拠はあった。
ただ、二階氏は小選挙区選出の議員だ。小選挙区で勝ち上がった場合は、やはり自ら獲得した議席という意味合いを帯びてくる。何よりその背景には有権者の支持があるのも確かだ。
そのため、定年制については自民党の各議員の間からでも、将来的な年齢制限の引き上げや撤廃などの声が挙がっている。現時点でも厳密に適用されているとは言えないだけに、今後もなし崩しになって行く可能性は高そうだ。