「試合後、中田翔と秋広優人の二軍降格が決まりました」(スポーツ紙記者)
この降格は、優勝戦線での敗北を意味しているのではないだろうか。
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5回表、中田が2打席続けて凡退すると、そのまま交代させた。捕手の大城卓三がファーストミットを持ってグラウンドに出ると、スタンドから「えっ?」という驚きの声が上がった。
「正一塁手の中島に代えるか、レフトを守っていたウィーラーを回すなら驚きませんでした。まあ、大城も一塁を守ったことがありますが、捕手が本職です。急造一塁手が出たこと、そして、中田を交代させたことにファンは驚いていました」(前出・同)
中田に期待する声はチーム内外から聞こえていた。しかし、この途中交代を見せられ、「今季はもうダメだ」と認識した関係者も少なくないようだ。
「この名古屋遠征で秋広を一軍に昇格させました。若手が活躍するとチームが活気づくので、起爆剤として期待されていました。その秋広を代打での1試合しか起用できなかったことに、チームの苦しい状況が再認識させられます」(プロ野球解説者)
原辰徳監督は、どちらかと言うと、「仕掛けていくタイプの指揮官」だ。失敗した時のリスクよりも、成功した時の相乗効果を選ぶ側であり、そういった性格を知る関係者は、
「秋広を思い切って、スタメンで起用して来るのではないか?」
と予想する声も中日3連戦の前に囁かれていた。原監督は、使いたくても使えなかったのではないだろうか。
「打線が低迷しているので、秋広にヘンなプレッシャーをかけてしまうと心配したようです」(前出・同)
それにしても、巨人打線の低迷ぶりはひどすぎる。9月の成績は、6勝14敗5分け。先発投手のコマ不足もあったが、「打てなくて負けた」試合の方が多い。
9月30日もそうだったが、試合前の打撃練習中、原監督は丸、中田、小林、ウィーラーなどに近づき、自らアドバイスを送っていた。「指揮官自ら」というところに危機感も伝わって来る。こんな指摘も聞かれた。
「9月28日、巨人がスカウト会議を開きました。投手の上位指名が確認されたようですが」(ベテラン記者)
会議後、大塚淳弘副代表編成本部長が囲み取材に応じ、「(補強ポイントが)誰が見ても投手とわかっている。うちは投手がいないんで」と言ったが、本当は満場一致ではなかったそうだ。
一軍の打線低迷を指して、大学、社会人の野手の指名の必要性を訴える意見もあったそうだ。関係者によれば、大塚副代表と原監督が意見交換するそうだが、中田を容赦なく途中交代させ、二軍再降格を告げたところを見ると、打撃陣のテコ入れも視野に入れて来るのではないだろうか。
試合後、球場を出る巨人の移動バスを追い掛けると、どんよりとした暗い、重苦しい空気が取材陣にも伝わってきた。終焉、優勝戦線から脱落したチームの典型的な光景だった。この敗北はドラフト戦線だけではなく、大量リストラの大粛清にも反映しそうだ。(スポーツライター・飯山満)