去る5月9日の東京ヤクルト戦で、チームの精神的支柱でもある坂本が「右手親指の末節骨骨折」を負った。5回裏の攻撃中、ヤクルト捕手・中村から投じられた牽制球に一塁走者の坂本がヘッドスライディングで帰塁した際に痛めたものだ。
「原辰徳監督は試合後、まだ情報を聞かされていないと前置きしつつも、『大事に至らなければ』と話していました。打撃好調で、かつチームを牽引してきたリーダーの離脱は大ダメージです」(スポーツ紙記者)
アクシデント発生からの舞台裏だが、まず、この「セーフか、アウト?」の際どいプレーに対し、ヤクルト・高津臣吾監督がリプレー検証を要求する。審判団が映像を確認している際、坂本はトレーナーに囲まれており、その様子から、「重傷?」の声が取材エリアで漏れていた。
セーフの判定は変わらず、原監督も代走を告げなかった。次イニングの守備からベンチに下がったが、坂本はトレーナー室に入ったまま。重傷であれば“即病院”となるので、「重傷ではなさそう」という安堵感が広まった。
「試合後、病院に直行しました。試合が終わるまでに球場を出たら、チームが浮足立つと思い、坂本が痛みをガマンしていました」(球界関係者)
坂本の配慮が逆転勝利を呼んだのかもしれない。
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「復帰までの日数は発表されていません。普通に考えたら、長期離脱ですが」(前出・スポーツ紙記者)
打撃好調の坂本が抜けるのは、大きな痛手だ。しかし、別の見方もされていた。
「打つだけなら問題ないとし、すぐに試合にも出てくるのではないか」(前出・球界関係者)
代打要員という意味ではない。
5月25日からセパ交流戦が始まる。パ・リーグ球団が主催する試合では守備に就かない「指名打者」が使える。交流戦が始まるまでは休ませるが、その後はDH要員として使っていくというものだ。
「坂本が帰ってきた時、巨人ナインの士気は高まります。主将の帰還を効果的に利用してくるのではないか、と」(前出・同)
エース菅野も右肘の違和感で登録を抹消されている(8日)。主将、エースが揃って不在となる期間ができるが、原監督はさほど慌てていないそうだ。試合後のインタビューでは心配していたが…。
「首位阪神とのゲーム差がこれ以上広がらなければと捉えています。ショートの守れる廣岡をトレード補充したことも、ここで生きてきました」(前出・同)
首位・阪神とのゲーム差は、3・5。この“余裕”が「終盤戦での後悔につながる」と懸念する声も聞かれた。厳しい試合が続きそうだが、同試合の逆転勝ちは「坂本不在」という危機意識が、チームを鼓舞した結果でもある。勝っても、負けても坂本次第。その存在の大きさを再認識させられた。(スポーツライター・飯山満)