「石井GMが就任したのは一昨年の9月。先ごろ、ゼラス・ウィーラーを巨人に放出し、これで彼が手掛けたトレードは7件になりました。19年オフには、実質4対3のトレードとなった千葉ロッテとの交渉もプラスに転じさせ、今季の好スタートはチーム編成を任された石井GMの手腕と言っていいでしょう」(球界関係者)
石井GMは「中・長期的な視野」でチームを見ているという。GMのいない球団も「編成本部長」などが似た方針を口にしてきたが、楽天の石井体制は少し違う。
「昨オフ、チームを最下位から3位に押し上げた白石洋介監督(現ソフトバンクコーチ)と、嶋基宏(現ヤクルト)を切り、ファンは衝撃を受けました」(スポーツ紙記者)
嶋といえば、東日本大震災でのスピーチもあり、チームに欠かせない存在だったが、容赦なく正捕手争いからの脱落を伝えたのだ。
また、今季の松井裕樹の先発転向にも計算があった。
「先発の軸は、則本昂大、岸孝之、涌井秀章ですが、3年後には20代の先発がいなくなります。今から松井をエースに育てなければならないという危機感があった」(同・記者)
ところが、先発で結果を出せなかった松井をあっさりと二軍降格させたのである。当初はクローザーに戻す案もあったが、3年後のエースを作ることを優先し、先発にこだわり、二軍で経験を積ませる覚悟だ。
野村IDに鍛えられ、メジャーリーグも経験した石井GMの改革は、球団幹部にまで及ぶ可能性もある。
「メジャー球団の職員は全員フリーで、結果が出なければクビ。それに対し、日本の球団幹部は親会社からの出向です。メジャー式のフロント組織が石井GMの最終的な理想形でしょうから、楽天の球団幹部はヒヤヒヤかも」(ヤクルトOB)
石井GMがNPB全体を改革する日も、そう遠くはないかもしれない。