search
とじる
トップ > 社会 > 特選映画情報『ナイチンゲール』〜レイプされ夫と幼子を殺された女の残忍復讐壮絶ドラマ!

特選映画情報『ナイチンゲール』〜レイプされ夫と幼子を殺された女の残忍復讐壮絶ドラマ!

pic pic

提供:週刊実話

配給/トランスフォーマー ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開
監督/ジェニファー・ケント
出演/アシュリン・フランシオーシ、サム・クラフリンほか

“ナイチンゲール”と言えば、19世紀のクリミア戦争で“戦場の天使”と呼ばれた女性看護師の話が有名だが、こちらは同じく19世紀の別の話。舞台はオーストラリア。夫と幼子を殺された元流刑囚女性が仇の英軍将校にリベンジする凄絶なストーリーだ。ヒロインは、その歌声の美しさゆえ“ナイチンゲール(夜泣きウグイス)”と呼ばれた、という設定がこの題名となった。現在DVD発売中の『ライリー・ノース 復讐の女神』は、夫と息子を殺された女性が主人公だが、昔から好きなんだよ。“復讐のヒロインもの”って。

 19世紀、英軍の支配下にあったオーストラリア、タスマニア島。流刑囚だったアイルランド人クレア(アシュリン・フランシオーシ)は、英軍将校ホーキンス(サム・クラフリン)に、目の前で夫と幼子を殺され、自らもレイプされてしまう。すべてを奪われた彼女は復讐の鬼と化し、すでに街へと出発した憎きホーキンスを追うため、先住民アボリジニの青年ビリー(バイカリ・ガナンバル)を道案内人にし、荒野を越え、川を渡る苦難の旅を続けるが…。

 何か、往年の東映任侠路線の女侠もの、例えば藤純子の“日本女侠伝”シリーズなどの呼吸に通じるものがある。まだ若い女性監督のジェニファー・ケントはさすがに観ていないだろうけど。もう、勝手に「豪州女侠伝・タスマニア復讐旅」と銘打ちたいほどだ。ヒロインのアシュリン・フランシオーシは人気シリーズ『ゲーム・オブ・スローン』などにも出ている注目女優。当時の藤純子ほどの美貌はないが、本人もアイルランド人だけあって、土着的な魅力たっぷり。肩幅も広いしね。オペラ歌手でもあるので歌声は太鼓判だ。

 それにしても暴力描写はエグいし、レイプ場面も強烈で、男の無慈悲な律動に耐えるヒロインの恥辱の顔が痛々しい。これが女性監督の手によるとは二度びっくり。今日び、女性監督の方がよっぽど大胆に過激に描写する。当時のオーストラリアでは日常的だった先住民や女性など社会的弱者への迫害や虐殺の様子を浮き彫りにする。この残忍で野心的な将校も、端整な顔立ちとは裏腹に、女性でも子どもでも容赦なく殺める非道ぶり。その代わり、ヒロインも容赦はしない。将校の極悪行為に加担した手下の兵士をナイフでドテっ腹を刺し、銃底で顔面を何度も殴打しトドメを刺す徹底ぶり。

 ガイド役の先住民青年と、身内を殺された者同士、差別された同士と分かり、連帯していゆくサマが感動的だ。“道行き”、“殴り込み”、仇にたたきつける“啖呵”。これまた東映任侠ものの呼吸か。
 《映画評論家・秋本鉄次》

社会→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

社会→

もっと見る→

注目タグ