ド深夜に、マニアックな局で、ひっそりと5年も続いているのは、さまざまなウラ仕掛けが施されているからだ。制作は、西口エンタテインメント。長州小力、アントニオ小猪木などを擁するお笑いプロレス団体だ。そのため、レギュラー審査員が小力。司会進行のアンタッチャブル・柴田英嗣とともに、プロの感性でステージに立つ若手芸人をシビアに分析する。
その小力とともにレギュラー審査員を務めているのは、モデルのMALIA.。自身がラインプロデューサーを務めるドレスのブランド・dazzyから衣装提供している。柴田と並んで司会をするグラビアタレント、審査員の月間マシェバラガールズがdazzyの衣装に身を包み、必ず口頭で宣伝するため、MALIA.にとってはPR効果を期待でき、局は衣装を用意しなくてもいい。一石二鳥だ。
月間マシェバラガールズとともに、月替わりの審査員を番組の総合演出・宮成“KATTOBI”強稔さんが務めてしまうこともある。その宮城さんの趣味なのだろう。4席目の審査員席には比較的、プロレス・格闘技関係の選手やOBが座ることが多い。前田日明や小橋建太、藤波辰爾…プロレス黄金期を支えたメンバーが、スーツを着てネタをジャッジする光景はかなりこっけいだ。
5年もやっていれば、当然大ヒットホームランが出る。番組最大のヒットメーカーは、メイプル超合金だろう。出演時は名もなき男女コンビ(安藤なつ&カズレーザー)だったが、今は大人気タレントだ。
相反して、柴田の後輩芸人でプロダクション人力舎所属の「しんぷる内藤」は無名だが、国民的アニメ「ONE PIECE」の作者・尾田栄一郎氏はひそかに応援している。「少年ジャンプ」のアンケートで「今ハマっている芸人」に「しんぷる内藤」を挙げた。さらに、好きになるきっかけとなったネタとして「カラスに乗って」を挙げたという。
カリスマプロレスラーから尾田先生までが横一列に並んでしまう深夜のネタ番組。マイナーとメジャーのアンバランスさが魅力といえよう。
(伊藤由華)