落合博満GMが、ついに動き始めた。ゼネラルマネジャー就任直後、一部マスコミは「谷繁元信兼任監督を傀儡化させ、現場関与してくる」と伝えていたが、実際は違った。春季キャンプ以降、落合GMはグラウンドにも下りていない。しかも、その動向は全て“隠密”だった。
「スカウティング活動に重点を置き、落合GM自ら地方球場に足を運ぶことも少なくないそうです」(球界関係者)
その理由もオレ流の落合GMらしく「自分の眼で見たものしか信用しない」からだという。スカウト陣が「絶対、モノになる!」と太鼓判を押したとしても、自分の目で確かめるというわけだ。
「落合GMはチームの世代交代を重要課題に挙げていますが、1年や2年でレギュラーを入れ換えることはできないとも捉えています。球団首脳陣もチームが生まれ変わるまでは、ある程度の時間は掛かると覚悟していました」(ベテラン記者)
落合GMのスカウティング活動は世代交代を加速させるためだが、視察先が少し偏っている。
「特に社会人野球の大会視察には熱心です」(前出・関係者)
自らの目で確かめたドラフト候補しか信用しないとなれば、今秋の中日は社会人選手を大量指名してくるだろう。必然的に、20代半ばの選手を補強することになるわけだが、こんな指摘も聞かれた。
「使えないと思った自軍の20代半ばの選手、つまり中堅、若手を大量解雇するつもりなんでしょう」(同)
2004年、ドラゴンズ監督就任1年目のオフのことだ。星野仙一元監督以来5年ぶりのリーグ優勝を果たすと同時に、外国人選手を含む18人に解雇通告を下す大ナタを振るった。就任当初は「現有戦力の底上げ」と称し、全選手を残留させていただけに、チームは大きく動揺した。
「いきなり自分の色に染めたら抵抗勢力の反発に合い、うまくいくものもいかなくなります。段階を踏んでというのが“オレ流”というわけですが、しかし、その決断は冷酷です」(同)
GM就任後の初仕事は年々高くなる選手総年俸を抑え込むことだった。成績不振の選手を容赦なく減俸し、総額で8億円強の総年俸削減に成功している。この時点で落合GMのチーム改革は始まっていたわけだが、故障選手にも減俸を突き付け、その反論にも一切聞く耳を持たなかった。
8月には史上ワーストタイの“月間20敗”を喫した。昨オフどころではない最厳の“オレ流査定”が断行されるのは必至である。