「正直、状況はかなり厳しいですね。追い切り本数も十分ではないし、それに放牧先から少し馬体がガレて帰ってきた。そのあたりを取り戻すのに、もう少し時間がほしい」
デビュー時から担当してきた児玉助手も帰厩して22日でのGI出走に厳しい表情を浮かべる。
今春は1月の東京新聞杯で初重賞制覇を達成、その後はトントン拍子で頂点まで上り詰めた。前走の安田記念にしても5着に敗れたが、勝ち馬と互角の強い競馬を見せた。
「当日は馬場の内がよく伸びていて上位に食い込んだのはインを突いた馬ばかり。外に持ち出した馬はすべて直線で止まっている。そんな中で唯一、外から5着に差してきた。負けたけど、相当な瞬発力を見せてくれたと思う」
秋初戦を前に児玉助手は力強く同馬の底力をアピールした。
逆境を跳ね返す原動力はこの並外れた瞬発力にある。春に続くスプリント王へ。児玉助手は最後にこう締めくくった。
「苦しい立場だと思うけど、レースまであと1週間ある。これでどこまで馬が変わってくるか。万全とはいかなくても力を出せる状態に仕上げられればチャンスはあると思う」
土俵際に追い込まれた王者のひと踏ん張りに期待したい。