昔、1年ほど付き合っていた彼氏は典型的なDV男でした。仕事や友人と遊んでいて、電話に出れなかったり、メールを返す時間が遅くなると、次に会った時は暴力を振るわれます。とにかく束縛がすごいので、少しでも疑わしいことをすると、激怒されました。
会社が終わる時間も、すべて教えなければならないので、1時間以内に帰らなければなりませんでした。そして、家に帰ったら、部屋の背景とリアルタイムのテレビ画面の写真を撮って、スマホで送り、家に帰ってきたことを報告するという日々でした。それでも会社の仕事が長引いたり、電車の遅延などで、帰るのが遅くなってしまう時があります。その理由を話しても、彼は聞く耳を持たず、手を上げられました。
そんなある日、「お前は俺が何度言っても忘れるから、ちゃんと覚えさせてやる」と、スマホで音楽を流しながら、私に暴力を振るってきました。ですが、それは音楽というより、某コンビニの入り口で鳴っている音でした。彼は日常の音で苦しみが蘇るよう、私に記憶させたかったのでしょう。ネットで検索して出てきたのか、その短い音が、殴られている間に何度も繰り返されて鳴っていたのを覚えています。
その後、実家に帰った時、私の傷に気づいた両親に問い詰められ、彼とは別れさせられました。でも、いまだに、あの音が流れるコンビニには入ることができません。あの音を聞くと震えて、気分が悪くなるんだと思います。
写真・ramendan