それぞれに趣向を凝らしたこれらのホテル群だが、しかし、すでに閉業し、廃虚となったものも少なくない。こちら『ホテル21』もその一軒。
料金こそ他店より安かったが、各室も単に1〜10号室という素っ気ない造り。基本的にベッドと冷蔵庫、机とソファがあるという程度では、21号線のホテル競争で勝ち目はなかっただろう。しかし、廃虚になってからは数多くのカップルがこの無料ホテルを利用したようで、各室にまだ新鮮な使用済みティッシュやコンドームの類を見つけることができた。
いまどきのラブホに比べれば、かなりダサイ設備と内装だが、廃虚になった今、むしろこのダサさがカップルたちを燃え立たせるのだろうか。カラオケやゲームなど気の利いたものは何もないが、その分、人をスケベのみに向わせる潔さがこの空間にはある。このラブホ廃虚を訪れたカップルは、そんな雰囲気を敏感に感じ取り、ハメずにはいられなくなるのだろう……。