「ゴールドウーマン」は第5回日経小説大賞に輝いた芦崎笙氏の小説『スコールの夜』が原作。帝都銀行でがむしゃらに働いてきた女性総合職・吉沢環(小雪)が、出世と引き換えに、200人ものリストラを指示されたことをきっかけに苦悩し、派閥争いに終始する男たちに闘いを挑んでいく様を描く。小雪の他、ミステリアスな女性管理職・矢島舞役を鈴木保奈美が演じるほか、村上弘明、駿河太郎、伊武雅刀、六角精児、矢野浩二、MEGUMI、押田瑞穂、滝口はるならが出演。富永は小雪の部下・松岡慶子役を熱演する。
−−今回は銀行員役を演じられたわけですが、演じる上で苦労されたことはありますか?
富永沙織(以下 富永):大学を卒業してすぐに芸能活動をはじめたので、勤めの経験がなくて、こういう銀行の世界とか、一般の会社の雰囲気がわからず、そこに苦労しました。銀行員の友達が何人かいるので、話を聞いたりして役作りをしたんです。例えば、支店で働く人と本部で働く人の視点の違いとか、会社の中での上司と部下の関係とか。専門用語についても勿論。話を聞くと、こういう組織の中で働くことがいかに大変な事か、改めて気付かされました。
−−小雪さん、鈴木さんという大先輩に囲まれての撮影だったと思うのですが、現場の雰囲気はどんな感じだったのですか?
富永:お二人とも私にとっては憧れの大先輩。小雪さんは立ち振る舞いもかっこいいし、媚びない感じがすごく素敵な方だなって思いました。人に無理に良く思われようとしていない、その自然体な感じにすごく惹かれたんです。お話した時に「楽しそうに仕事をしているね」って声をかけてもらえたのも嬉しくて。鈴木さんはわたしの名前をきちんと覚えてくださってびっくりしました。こういう現場では役の名前で呼んだりすることが多いんですけど、ずっと「富永さん」って呼んでくださって光栄でした。撮影中はけっこうプライベートの話とかで盛り上がりました。お家での話とか、お子さんの話とか。お二人とも女性としてすごく素敵な生き方をされているので私もお二人のようになりたいなって思いました。
−−現場ではあんまり人見知りせず、積極的に話しかけていくほうなんですね。
富永:そうですね。人見知りはあまりしないです。みんなと仲良くなりたいって思うタイプなので。
−−今回のドラマはどんなところが見所になるんでしょう?
富永:女性を捨てて渡り歩いていく人と、女性を使って生きていく2パターンの人が出て来ます。そういう部分お面白いのでぜひ見て欲しいです。男性陣も村上弘明さんや伊武雅刀さんが出演されていますが、とても深みのある演技を見せて下さっています。菅原大吉さんも出演されていますが、個人的には菅原さんからもすごく刺激をもらいました。普段の時とお芝居に入った時の感じが全然違うんです。役者さんらしい方だなって。私もそういう役者になりたいです。
−−プライベートについてもお聞きしたいのですが、「小学校教員免許」や「学校図書館司書」の資格を持っていらっしゃるんですね。芸能活動をしていなければもしかしたら学校の教師になっていたかもしれないんでしょうか?
富永:祖父母をはじめ、家族に教職者が多いんです。女優にならなければ私もそっちの世界に行っていたかもしれないですね。免許も取ったし、教育実習にも行きましたし、実は採用試験も受けに行ったんです(笑)。
−−でも大学卒業後は一転、モデルや女優世界に飛び込んだ。
富永:大学在学中からタレント活動をし始めていたんです。やってみるとすごく楽しい世界だなって。演技を自分なりにいろいろと勉強していく中で女優として自分もやっていきたいって。
−−それまではまったく演技の経験もなかったそうですが、演技面では苦労した面も多いのでは。
富永:私自身はすごく感情線が強いタイプ。感情が豊かなタイプだと思っているんですけど、逆にスマートでクールな女性を演じるのが難しく感じるんです。でも、見た目からかそういう役を求められることが多いし、これからも増えていくだろうって考えているので、そういう人の感情パターンを今、研究中です。
−−今後も女優をしていく中、挑戦してみたい役とかありますか?
富永:今までやった中だと幸せになれないちょっと不幸な女性役がとても面白かったです。中身をきちんと表現できる役でもあるので、やりがいを感じられました。でも、私としてはもっと自分のイメージを広げて、幅広い役に挑戦していきたいなと思っています。コメディもそうだし、お母さん役も。性格的には母性が強いタイプなのでお母さん役は向いていると思います。先生役も自分のキャリアからやってみたいんですけど、まだ来ないですね(笑)。オファーを待っています(笑)。
(取材・文:名鹿祥史)