1947年7月8日、アメリカのニューメキシコ州ロズウェル空軍基地にて地元マスコミに異例の発表が成された。
「空軍はかねてより噂のあった空飛ぶ円盤を入手した」
さらには空飛ぶ円盤の残骸の回収に成功したと発表、地元のメディアをはじめ世界中で報道されることになった。これが60年以上たった現代でも語り継がれる有名なUFO墜落事件「ロズウェル事件」の始まりであった。
しかし、この発表はすぐに「円盤は観測気球の誤認であった」と否定されることになる。こうして一度は収束したかに見えたロズウェル事件であったが、人の口に戸は立てられないのか、多くの証言が報告された。
当時基地近くに住んでいたグレン・デニス氏は基地内の病院に勤めていた看護師より「四本指の小柄な異星人の死体」を目撃、解剖を手伝ったと聞いたと証言している。
また、事件当時多くの人がUFOらしき物体が墜落していく様子を目撃中には現場で倒れていた異星人を発見した人物も現れた。またUFOの破片は広範囲に広がっていたようで、象形文字の入った謎の破片や丸めてもすぐに元通りになる謎の薄い金属片などを目撃したり、個人的に持ち帰った人物もいたという。
1990年代にはこのロズウェル事件で発見された異星人の死体を解剖した様子の記録フィルムとされる「宇宙人解剖フィルム」が公開された。この動画は日本でもテレビ番組にて放送されたので、見たことがある人も多いかもしれない。
このように、ロズウェル事件は初めての物証が残されているUFO事件だったこともあり多くの人の注目を集め、UFO研究家が真実の究明に乗り出した事件となった。
しかし、1994年にアメリカ空軍は改めてロズウェルに落ちた物体を空飛ぶ円盤ではなく、近くのアラモゴード空軍基地で行われていた極秘プロジェクト「プロジェクト・モーガル」にて使用されていた気球の残骸であったと発表。回収された破片はプロジェクトに使用されていた機材と合致していることが判明したのだ。では、現場で回収されたという宇宙人は何だったのか? プロジェクト・モーガルでもダミー人形を使用したケースがあるが、それは事件から数年後のことで時期が合わない。しかし、改めて1947年当時の報道を見てみると、発見されたのは空飛ぶ円盤の残骸についてのみであり異星人の死体発見など、その他の情報については全く報道されていないことがわかる。つまりUFO=宇宙人という連想から生み出された創作である可能性が高いのだ。
他にも、異星人の死体を目撃したという看護師が存在していなかったり、人によってUFOの墜落現場が違う、中には墜落現場の証言が大きく変化するなど信頼性が低いものが大半を占めている。
それでも、何らかの物証が確認されたという事実が人々の期待と希望をかき立てるのだろうか。今年5月7日にはイギリスのメディアが「ロズウェルで発見された異星人の死体か?」としてミイラ化した人型のものが写っている写真を独占入手したとして公開、注目を集めたが、写真が不鮮明なこともあり疑問視する人も多い。
もしかしたら、いつか本物のUFOや宇宙人が姿を現してくれるかもしれない…。人々がそう思い続けている間は、ロズウェル事件は終わらないのかもしれない。