「山口俊(前DeNA)、森福允彦(前ソフトバンク)、陽岱鋼(前日本ハム)、そして元楽天のマギー、新クローザー候補にメジャーからカミネロ…。これら巨大補強の陣頭指揮に立ったのは堤辰佳GMです。これだけの巨大補強を敢行してペナントレースに敗れれば、フロント組織の人事問題にも発展しかねません」(スポーツ紙記者)
堤GMが高橋監督の慶応大学時代の先輩でもあるのは有名な話だ。「後輩かわいさ」もあったのかもしれない。だが、これら補強は、フロントが一丸となって進めてきたわけではない。
「大田泰示のトレード放出が幕開けでした。伸び悩んでいたとはいえ、元ドラフト1位を出すということは、指名当時のチーム編成、補強を否定しているのと同じです。面白くないと思ったスタッフもいたと聞いています」(同)
大田は原辰徳前監督が期待していた若手だった。前任者の時代、巨人は大田以外にも東海大グループ出身選手を獲得している。原前監督が同グループ出身である以上“自然な流れ”だが、GM、監督が慶応閥となれば、前政権下で要職にあったスタッフも「このまま」とはいかなくなる。
岡崎郁氏のスカウト部長就任もその一環だろう。
「堤GMは'15年5月の就任直後、代打の切り札だった矢野謙次を日本ハムへ放出しました。世代交代が進む中で出番がないと見れば、移籍させた方が本人のためとの考えによるものですが、チーム功労者でしたし、賛否両論ありました。今オフの大田放出も、堤GMらしいというか…」(関係者)
しかし、大田は東海大グループの期待の星でもあった。これで敵対勢力を作ってしまったのかもしれない。
「第4回WBC後、原氏が次の代表監督に就任するとの声もあります。この話はまだ生きていて、決まれば、堤GMの方針から弾かれた前政権時のスタッフは出向のような形で追随するはずです」(同)
高橋政権、堤体制が長く続くかどうかは30億円補強の結果次第だが、チームに最も影響力を持つ阿部慎之助の出方も重要だという。
昨季の阿部は二軍スタートだったが、調整中も東京ドームに顔を出し、不振の選手に声を掛けてまわっていた。また、復帰と同時にチームがまとまりだし、首脳陣もその影響力は認めざるを得なかった。
「今季の阿部は一塁手に専念しますが、大型補強の影響でスタメンが保証されてはいない。仮に阿部が造反でもすれば高橋監督でも抑えられない」(前出・記者)
阿部は4年目の小林誠司を正捕手に育てるため、指導役も買って出た。新加入の山口たちも「阿部への挨拶」はイの一番に行った。
現政権で冷や飯組となった面々が阿部を担ぎ上げ、“対慶応閥”の図式となれば、高橋監督の命取りになりかねない。