A:パソコンなどの液晶画面を長い時間見続けると、まばたきが減り、ドライアイになりやすくなります。また、これが目の疲労を引き起こす要因の一つになります。
最近はパソコンやスマートフォンなどの液晶画面から出るブルーライトが問題視されています。ブルーライトが、目の疲れや睡眠リズムの乱れなど、健康に影響を及ぼすおそれがあるそうです。そのブルーライトに対して、これをカットするメガネや液晶画面に貼ってカットするフィルムもあります。これらの製品を使用するのもよいでしょう。
●肝や腎の働きを高める
漢方では、疲れ目は肝の働きの低下によってもたらされると考えます。目は肝臓と密接な関係があります。肝はまた、ストレスを受け止める臓器のため、過剰なストレスにさらされると、肝の機能も低下します。
つまり、目が疲れるような生活を送り、しかも精神的ストレスが多いと、肝臓にとっては非常によくないわけです。
目はまた、腎とも深い関係があります。漢方でいう腎は精を蓄えるところです。腎は加齢ととともに衰え、それによってホルモンや体を調節する働きも低下して、目の疲れやかすみ目、ドライアイや視力の低下を引き起こすのです。
ですから、基本的な対策として、睡眠をよくとって、目と体の疲れを解消したいもの。ビタミンを積極的にとることも、体調をよくするために役立ちます。
漢方薬には、目と体の両方を元気づけるものがあります。肝や腎の働きを高めて、疲れ目を改善する漢方薬に『杞菊地黄丸』があります。これは枸杞の実や菊花などを配合しています。
漢方ではまた古くから、目の疲れに『鯉魚胆』を使用してきました。これは鯉のキモ(胆)で、「血を蓄える胆が目の血を補う」という考えに基づいています。
現代栄養学の観点に立って考えても、鯉のキモはビタミンAなど、目の健康に必要なビタミンAなどを豊富に含んでいます。なお、鯉魚胆には、健康保険適用のエキス剤はありません。それとは別に、鯉を丸ごと煮つめてつくったエキスも栄養補助食品として販売されています。
この他、ヤツメウナギのキモもビタミンAが豊富です。このビタミンAを抽出した製品が今も大衆薬として販売されています。
岡田研吉氏(玉川学園・岡田医院院長)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病などに成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。