首や肩凝りの原因は、一般的に運動不足や「姿勢が悪い」「目の疲れ」などによって、筋肉が硬くなり血液の循環が悪くなるため起こるといわれている。血液の流れが悪いとなると、筋肉に酸素も行きにくく、老廃物が溜まりやすくなるため、筋肉が硬くなり、正常な伸び縮みがしにくくなる。これが凝りを増幅させてしまう悪循環を生む。
中でも首凝りの場合、首周辺の血液だけではなく、身体全体の血液の循環が関係している。とくに首周辺の血管(椎骨動脈)は、脳に血液を送る重要な器官であるため、血液循環が悪くなると脳への酸素供給が不足がちになる。
そうなると首凝りにとどまらず、頭痛、めまい、不眠、イライラなど自律神経失調症を引き起こす。他にも、過敏性腸症候群などの胃腸障害や血圧の不安定など、いくつもの症状がともない、放っておくと命に関わる病気に繋がると医療関係者は口を揃える。
「首には自律神経が集中しています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、心拍数、血圧、呼吸、体温、内臓の動きや目の瞳孔の収縮など、人間の命をコントロールする役目を担っています。そんな重要な首の筋肉が凝り固まって硬くなってしまうと、副交感神経を悪くして、心身にさまざまな不調を引き起こし、まさに万病の元になりますので、しっかりと対処することが大事です」
都内で神経内科クリニックを開く浦上尚之院長は、こう説明した後、さらにこんな指摘もする。
「今や現代病ともいわれるうつ病も、精神的なものよりも、むしろ首凝りからくる“頚性新型うつ”が大半を占めています。首の凝りが悪化すると体のあちこちに不調が表れ、それが重症化すると、うつ症が顕著になります。治療法も、大うつ症と違い、心療内科、精神科で出される投薬やカウンセリングではなく、“首凝り”の原因を正さなければ改善できません」
つまり、頚性新型うつの場合、精神的な治療より首凝りの原因となる血流を悪くする要因、つまり、うつ向いたままの悪い姿勢を正すなど、生活面の改善が必要で、その指導と自らのセルフチェックが重要になってくるというのだ。