本作は山梨県都留市を舞台に、伝統芸能の継承に取り組む父と娘の心のふれあいを描いたヒューマンドラマ。会見には大杉漣、筒井真理子、黒川芽以、朝加真由美、森岡龍、奥秋監督も出席した。
登壇すると武田は「わたしにとって大好きな作品になりました」と本作を紹介。「最初にお話しをいただいたとき、台本になる前のあらすじだけで大号泣してしまい、あ、出会えた。何と出会えたかはうまく言えないのですけど、これは縁だなって思いました。公開を迎えられて本当に嬉しいです」と感慨深げ。
大杉との親子役についても「すごく緊張しました」と振り返り、「監督にこっそり聞いたんですけど、親子関係がうまくいかない役なので、大杉さんが衣装合わせのときから、『武田さんとあんまり会わないほうがいい』とおっしゃっていたみたいで、最初の二日間ほとんど会話がなく、それがすごくさみしくて…大杉さんの背中ばかり見ていたのを覚えています。でも後半にかけて少しずつ話してくださって。わたしの役の雰囲気を作ってくださって感謝しています」とコメント。「わたしの代表作になったと思います。役者としても成長させてもらえた作品になりました」と笑顔を見せた。
今井さんのことが話題にあがると、生前親交の深かった大杉がマイクをとり「ニュースを聞いてびっくりしました。正直、自分が若い頃、Vシネマで日々若頭や組長の役をやっていた頃に今井さんと出会ったんですけど、本当に元気で、裏表のない方でした」としみじみ。「可能性をまだまだいっぱい秘めた中で、今井さんも悔しさがあったと思います。今井さんのほうが僕より年下だったけど、彼の役者としての姿勢からは学ぶことも多かった。彼の俳優としての魂はこの映画にたくさん詰まっていると思います」とその死を惜しんでいた。
(取材・文:名鹿祥史)