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残暑にご用心! 「あせも」を軽く考えてはいけない理由(1)

 暦の上では秋。だが、依然として30度を超える厳しい残暑が続く。そういう時は皮膚の病気、汗疹(かんしん)を引き起こし、病院に駆け込む人が後を絶たない。首や背中に炎症を起こし、痒みに耐えられず患部を掻きむしれば黄色ぶどう菌などが繁殖。膿が溜まる汗腺膿瘍(かんせんのうよう)になれば、まともに下着やワイシャツを着られない人もいるという。

 汗疹、すなわち「あせも」と聞くと軽く考えがちだが、無精で肌の手入れを怠れば、厳しいしっぺ返しに合う。
 汗疹は本来、夏の代表的な病気の一つだが、寒い冬でも汗をかく環境であれば発症する。特に猛暑日で大量の汗をかくときはご用心。肌を汗で湿りっ放しにしておくと皮膚が荒れ、病気を発症する。
 今年は梅雨入り前から暑い日が続き、その頃から患者が徐々に増え始め、皮膚科などの専門医を訪れる人の数が例年より増えているという。
 首や背中などに赤いボツボツができ、ほとんどが痒みを伴い、中にはそのかゆみに耐えきれず、患部を掻きむしって重症化させ、慌てて治療を受ける人もいる。
 清潔に保てば数日間で消える場合もあるが、サラリーマンなどは、普段着のような開放的な服を着ているわけにはいかない。着替えもできず、汗を拭き取ることも難しい状況にある。

 汗は汗腺(エポクリン腺)で作られ、細い汗管を通って皮膚の表面に滲み出て来る。しかし、汗の量が多いと汗管が詰まり、行き場を失った汗が肌内部に溜まることとなる。
 その結果、汗に含まれる塩分やアンモニアとともにホコリや垢、細菌などが肌を刺激し、かぶれたり炎症を起こし、汗疹が重症化するケースがある。
 幼児や子供に汗疹ができやすいのは、新陳代謝が盛んで汗をかきやすいことに加えて、体が小さいのに大人とほぼ同じ数の汗腺があるためだ。
 汗が次々と出て、なかなか乾きにくいので汗疹にかかりやすい。

 ちなみに、この汗疹は症状に違いがあるものの3つの種類に分けられる。
 まず、皮膚の最表面(角質)が汗でふやけ汗管がふさがる「水晶様(すいしょうよう)汗疹」。これは小さな水泡や白いブツブツができるが、かゆみや痛みは少ない。
 次は、角質のさらに下の有棘層(ゆうきょくそう)で炎症が起こり汗管をふさぐためにできる「紅色(こうしょく)汗疹」というもの。赤い小さな湿疹がいっぱいできて、痒みや痛みが伴う。一般的に言われるあせもとは、この紅色汗疹の事を指している。
 厄介なのは、「紅色汗疹」が悪化した場合。有棘層のさらに深部にある真皮が炎症を起こし「深在性(しんざいせい)汗疹」となり、汗が出にくくなる。
 そのため、症状が広範囲に広がってくると、汗が内部に溜まるために体温が上昇。すると、今夏大きな問題となった熱中症を引き起こす要因の一つにもなるという。

 ただ、専門家に言わせると「深在性汗疹」になるのは、高温多湿の環境(職場)に長時間いた時などでは発症しやすいが、そうでなければここまで悪化することはないという。
 だが、厨房の料理人やヘルメットを着けて工事現場で長時間働く人たちは、発症の危険にさらされる。
 ひどい人だと「マラセチア毛皮炎」などカビが原因の皮膚病に侵されるケースも少なくない。
 これらを防ぐには、仕事の後にシャワーや入浴などで汗を流し、体を清潔に保つ努力が必要だ。

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