ルーティーンは崩さない。毎週月曜日、新幹線で午前9時ごろ新大阪に到着する。乗っているのは10号車。当然グリーン車の喫煙車両(700系のみ)だ。すごいのは、いまだに“追っかけ隊”が新大阪駅の改札口を出たところで待ち伏せていることだ。
「いつも同じメンバーのおばさん連中で、およそ20人。熱烈なファンで、昔からずっと変わらない女性たちです。その中の1人が毎回、さんまさんに企画書を渡しているそうです。さすがと言うべきか、さんまさんはそれを帰りの車中でしっかり目を通していると言いますから、過去にはお知恵を拝借したことがあるかもしれませんね」(スポーツ新聞の芸能記者)
新幹線移動のおよそ2時間半では、やることも決まっている。まずは、同乗したタレントやスタッフの人数確認。追っかけ隊がくれたお菓子をパクつくことも忘れない。隣が空席の場合は、お菓子の袋などを大量に積み上げ、さながらゴミ屋敷の様相。ポップコーンは放り投げるようにして食べるため、食べカスがフロアに散らばる。
必携は、清涼タブレットのフリスク。新大阪―名古屋間のおよそ50分で、1パックがカラになる。笑い話だが、本当らしい。
リクライニングシートを倒したところを見た芸能人は、ほぼゼロ。ずっと直角の姿勢のままで、終点に着く。
まれに、プロの片りんを見せる。煙草を吸うために移動した中川家・礼二が偶然見てしまったのは、小さなメモ帳に何かを書いている様子だ。陰で努力しているところを見られたくないのか、咄嗟にメモ帳をさっと隠して、「気づいたこととかを書くようにしてんねん」と漏らしたらしい。
中川家は現在もさんまと、『痛快!明石家電視台』と『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)などで共演。週2ペースで顔を合わせることが珍しくない。その上で18年ほどの交流があるため、“さんまのトリセツ”がインプットされている。
新大阪駅でさんまと同じ新幹線に乗る芸人が、挨拶に行こうか迷っていると、決まって遮る。「挨拶は行かんでええ」と忠告して、8号車か9号車の指定席に乗ることを勧める。話したら最後。降車駅までしゃべり倒されるからだ。
古巣の関西で後輩芸人に会うと決まって、「何の仕事やってん?」と必ず番組名を聞く。根掘り葉掘り聞き出だした挙げ句、「それ、笑わせたんか」とチェックする。
齢64歳の“眠らないお笑いモンスター”。ライバルは、日本中のお笑い芸人のようだ。
(伊藤雅奈子)