渡辺氏のアクションは予想外に早かった。
離党からわずか3日後。政策集団立ち上げを宣言する会見で「霞が関が、政治、民間、地方をコントロールするシステムからの脱却を目指す。脱官僚、地域主権、生活重視という志を共有できる方々に入っていただきたい」と同志を募った。
会見に同席したのは、無所属の江田憲司衆院議員(52=神奈川8区、当選2回)と、政府の道州制ビジョン懇談会の座長を務める江口克彦PHP研究所社長、評論家の屋山太郎氏の3人。東洋大学教授の高橋洋一元内閣参事官も参加する予定だが、渡辺氏が離党劇で再三訴えた「国民運動」を起こすには、明らかにパワー不足だった。
永田町関係者は「自民党を離れたいま、渡辺氏は次から次へと情報発信していかないと国民に忘れ去られてしまう。離党前からニュースに登場し続けるシナリオを描いていたんだろうが、4人の船出は寂しすぎる。それでも記者会見しなければならないほど、人集めに苦労し、切迫感があるということだ」と話す。
実際、繰り返し参加を求めた大阪府の橋下徹知事には「僕は麻生政権を支える」と断られた。新浪剛史ローソン社長、渡辺美樹ワタミ社長ら若手経済人や、東京都の猪瀬直樹副知事にも参加を働きかけたが、色よい返事はなかったとされる。
週刊誌で「劇団ひとり」と揶揄されながら、逆手にとって話題にした渡辺氏。しかし、4人きりではその根性も同情を誘うばかりで、“解散宣言”はむなしく響いた。
政策集団は2月上旬にも準備会合を開き、名称を公募する。
渡辺氏は「この時点では新党構想とは全く関係ない。全国各地のオピニオンリーダーに声を掛けたい」と述べ、議員や地方自治体の首長のほか文化人や経済人らに引き続き参加を求める考え。
一方で「次期衆院選が近づけば、この国民運動とは別の動きがあるかもしれない」(渡辺氏)と、渡辺、江田両氏を軸とする新党構想に含みを持たせる発言もあった。
しかし、麻生太郎首相は16日、政権への影響を「ない」と断言。さて、新政策集団はひと泡吹かせることができるか。