A:今の日本では、多くの人が自分に自信を失っているということです。遡ると、高度成長期の時代には、大半の人が自分に自信があり、中流意識を持っていました。それは誰もが仕事さえ持っていれば人並みの生活が享受できる、良い時代のおかげでした。
●自分の責任ではない
現在は不況が続き、頑張って働いても給料は上がらないし、それどころか下げられることも普通です。そのため、自分に自信を失い、悲観的になり、将来に夢を持てなくなっている人が多くいます。
ご質門の方もその一人のようです。また、“自信のなさの責任は自分にある”と思っているのではないでしょうか。
おそらく、精一杯頑張っているけど、自分が理想とするほどには成果が上がらないし、評価が得られないと受け止めているはずです。しかし、そう思っているのは自分だけではありませんか? ひょっとしたら、周囲の評価はもっと高いかもしれません。また、成果が上がりにくいのは、日本経済の低迷という、大きなレベルでの問題が横たわっています。ですから、あなた個人の問題も、必ずしもあなた自身の責任とはいえません。
と、このように考えるべきで、そうすれば心が楽になってきます。将来に対しても、景気は今後、さらに悪くなるという悲観論が大勢を占めているようですが、そうと決まったわけではありません。未来に希望を持とうではありませんか。
●甘麦大棗湯がオススメ
漢方療法で、ご質門のような方にぴったりの漢方薬もあります。それが甘麦大棗湯です。この漢方薬は、生薬の甘草と大棗小麦を配合しています。この漢方薬はもともと、女性のヒステリーに効くもので、更年期障害や子供の疳の虫などにも使われてきました。それが現代においては、うつ状態の男性にも非常に効果を発揮するのです。
うつ状態はもちろん、就寝時に神経が高ぶって寝つきが悪い、常に眠りの浅い場合や、精神が消耗している場合などにピッタリです。
甘麦大棗湯はエキス剤があり、薬局で購入が可能。また、多めに服用することが効果が得られるコツです。
健康保険が適用されているので、病院を受診して処方してもらうこともできます。漢方専門医院や大学病院の東洋医学外来を受診するとよいでしょう。
岡田研吉氏(玉川学園・岡田医院院長)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病などに成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。