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ベイスターズ買収問題が進まず、尾花監督が事実上の続投

 フロントは土俵際まで追い込まれたが、現場はかえって良かったのではないだろうか。横浜ベイスターズの監督人事のことだ。尾花高夫監督(54)が“時間切れ”で続投となるようだ。

 「10月7日のオーナー会議で『分岐点』でした…」
 在京球団職員がそう言う。同日の臨時オーナー会議後、報道陣に囲まれたのは横浜・笹川博史取締役だった。「球団売却は出たのか?」−−。同取締役も予測していたのだろう。落ち着いた表情で「その話題は出ていないし、私どもから何の発言もない。各オーナーから質問? ありませんでした」と答えた。

 過去、プロ野球球団が売却・買収された例はいくつもあるが、「10月中に結論を出す」というのが“慣例”である。『野球協約』によれば、<11月30日までに実行委員会とオーナー会議の承認が必要>とあり、内々の相談を含め、遅くとも10月中にその内容を他球団に伝えておかなければ、11月中に結論を出せないのだ。11月にも球界の公式行事の会合が予定されているが、その席上でいきなり切り出されても、出席者は即答できない。一本企業もそうだと思うが、いったん持ち帰って検討しなければならないからだ。そのため、10月のオーナー会議が「今季内におけるベイスターズ買収・売却問題のタイムリミット」と目されていたのだ。
 「今季中のベイスターズの売却・買収が完全消滅したわけではありません。急展開するようなことになれば、臨時招集が掛かるかもしれませんし…。ひょっとしたら、今は相手企業との調整が遅れているだけなのかもしれません」(前出・在京球団職員)
 売却・買収の議案が掲出されなかったことで、ベイスターズの監督人事にも結論が出されたようである。3年契約の尾花監督はその任期を全うする。そう見て、まず間違いないだろう。
「昨年オフ、ベイスターズ買収に乗り出した某企業が『人事に触るな!』と発言しました。その発言に傲慢な印象を持ったファンも多かったそうですが、買収する側にすれば当たり前のことです。でも、12月に入って監督人事に着手するのは愚策です。12月はドラフトを終え、一部選手にも『解雇通告』を出しており、トレードの交渉をしている最中でもあります。監督が代われば戦略も変わります。年明け早々にはキャンプの練習スケジュール、オープン戦の日程調整も始めなければなりません。12月に入ってからチームビジョンを白紙に戻すことはできないんです」(球界関係者)
 球団売却・買収の話が急展開を見せたとしても、尾花監督の人事には着手できないのだ。また、現ベイスターズには新監督を招聘する“余剰金”もないようである。

 「ここまで落ち込んだチームを再建できるのは野村克也さんだけ。人気の大魔神・佐々木(主浩)に託すとの声もあるようだが」(前出・関係者)
 しかし、横浜OBは必ずしもそうは見ていない。「1人の指揮官に3年以上託すべきだ」なる意見も聞かれた。
 どんな老獪な指揮官でも新任時はチームを掌握するため、ベテラン選手との距離を縮めたがる。01年、西武で黄金期を築き上げた森祇晶氏を招聘し、03年にはOBの山下大輔氏、05年はTBS系列で解説を務めていた牛島和彦氏を抜擢し、07年からは大矢明彦氏を再登板させた。2010年からは現在の尾花監督だが、3年以上続けて指揮を執った指導者は1人もいない。大矢元監督も3年目の途中で休養した。

 ベテラン選手と話をし、友好関係を築こうとするのは決して悪いことではない。だが、ベテランを厚遇すれば、中堅・若手の出場機会が減る。ほぼ2年ごとに指揮官を代え、同時にチームビジョンをゼロから作り直してきたわけだから、「チームが強くないはずがない」というのだ。尾花監督には来季以降も、つまり、「3年以上を託すべき」というのが、OBたちの意見である。
 10月4日、育成出身の国吉佑樹投手(20)がプロ初勝利を挙げた。ベイスターズの関係者には失礼な言い方になるが、ネット裏の他球団スコアラーは「ドラフトがヘタクソな横浜がよくぞ見つけてきた!」と称賛していた。この国吉には、実戦経験を積ませていくべきである。
 経営陣を含め、横浜に足らないものは左腕投手ではなく、『我慢』ではないだろうか。

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