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広島・マエケン我慢の限界「これじゃメジャーに行けん!」(2)

 こんな試合もあった。6月6日の対楽天戦、5回の攻撃で3点のビハインド。1死一、二塁、1発出れば同点の場面。だが、二塁走者の鈴木誠が三盗を試みてタッチアウト。その後、代打のシアーホルツがセンター前にクリーンヒットを放って1点を返したが、「鈴木誠が暴走しなければ、チャンスが続いたのに…」と嘆いたファンが多かった。
 好機を生かせずの敗北。試合後、緒方監督に代わって、永田利則総合コーチがこう釈明した。
 「鈴木誠にはスキがあれば走っていいと伝えてある」
 俊足選手は“フリーパス”というわけだ。
 「緒方監督は鈴木誠を信用し過ぎたのでしょう。フリーパスの選手はどの球団にもいますが、“走れ”のサインがない代わりに“走るな”のサインはある。相手バッテリーに読まれているときは“走るな”のサインを出すものです」(球界関係者)
 鈴木誠を二塁に置いた後、楽天バッテリーは鈴木誠が走ったときだけクイック投球をした。無警戒を装って盗塁死を誘ったのである。

 鈴木誠の若さ、経験値の少なさも大きいが、“走るな”の指示を出さなかった緒方監督にも責任はある。
 「緒方監督は黒田帰還後、繰り返し語っているのが、『練習熱心な黒田の背中を見るだけでも、若手の勉強になる』の言葉です。しかし、精神面でのそんなプラスを、技術面でどう生かすかは本人次第。技術的な指導は緒方監督以下コーチ陣の仕事です」(前出・ベテラン記者)

 黒田博樹の帰還については、こんな指摘も出ている。
 「黒田はコントロール、変化球全て平均値以上です。つまり黒田が打たれれば、サインを出した捕手のせいになります。守っている野手も妙な緊張感が漂っていて、それが先発陣を見殺しにする原因にもなっています」(同)

 6月5日に黒田と対峙し、1-2で敗れた楽天の大久保博元監督は「一球一球、魂がこもっていた。みんな感じるものがあったと思う」と話していた。そう、黒田の熱投は相手のベンチにもアドレナリンを出させるのだ。それが対戦相手の投打の刺激となり、広島打線はその上を行かなければ勝てない。緒方監督も「若手を信頼する」だけでは、無策に等しいのだ。
 「マエケンは救援陣が勝ち星をフイにしてしまった後、ブログでいたわっていました」(前出・担当記者)

 しかし、マエケンは優しいだけではない。天性のリーダーシップを持った野球人でもある。在京球団スカウトがこう証言する。
 「高校時代、打撃力もあったマエケンは登板しない試合では外野を守ることもありました。攻守交代の際、味方投手のもとに近づき、アドバイスを与え、ベンチからも人一倍声を出していました。リーダーシップを兼ね備えた逸材は少ない。当時、田中マー君よりもマエケン指名にこだわったスカウトも少なくなかった」

 プロ入り後も、ふがいない内野陣に「反省しろ!」と怒鳴りつけたこともあった。今のチームに一番憤っているのはマエケン自身であり、メジャー挑戦の人生プランを取り戻すためにも、今こそ“喝”を入れるべきだ。

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