不動産会社勤務のR氏は、過去に体験した奇妙な出来事を話し始めた。
「ある一軒家に入居した男性がいました。毎日、その彼から電話がかかってきたんです」
彼曰く、毎晩、若い女の幽霊が出てくる。そして、なぜか女は怒りに満ちた顔をしており、凄い金縛りで身動きが取れず、うなされるらしい。
「その家に住みだしてから頭痛がすると訴えていました。でも、私は彼の話が信じられなかったので真剣に取り合いませんでした。幽霊なんているわけがないと笑いながら話していましたから…」
だが。その数日後、彼が部屋で一人亡くなっているのが発見された。連絡が取れなくなったので、心配した彼の肉親が見に行ったら死んでいたという。
死因は脳溢血だった。まだ20代と若かった。
「その時ばかりは本当にぞっとしました。後から聞いた話なんですが、その物件に住んだ人は必ず、ほどなくして病気で死ぬんです。実は、その前に住んでいた年寄りの男性は、脳梗塞で倒れて入院先で亡くなりました。その前の人も、そのまた前の人も…。なぜか、死因は全て脳溢血とか脳血栓とか、頭に関する病気でした」
R氏は青ざめた顔で語った。偶然にしては恐ろしい一致だ。住人が次々と死んでいく死の家。
謎に満ちた不可思議な物件はまだまだたくさんある。今後も紹介していきたい。
(怪談作家 呪淋陀(じゅりんだ)山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou