絶対匿名を理由にある食品メーカーの関係者がわれわれの取材に応じてくれた。
「実は私達の会社も賞味期限の偽装を行っておりまして、それが発覚し処分を受けました。関係官庁からの処分も決まり、業務再開に向け動き始めたのですが社員の士気も落ち、何かしなければと思っていたところ、同じく不祥事で揺れたあの企業が「A」を供養したという話を聞き、私達もお寺で商売の祈願を行ったついでに会社のイメージキャラクターを供養していただきました。神頼みではなく営業再開という新たな出発に向けたゲン担ぎのようなものですが」
その食品メーカーは一時の混乱から回復基調に転じ順調に業績を元に戻しつつある。その奇跡の回復にキャラクターの供養はなんらかの効果をもたらしたのだろうか?
「いえ、業績の回復は社員の努力の結果だと思います。ただ、キャラクターは会社の顔であり仲間だと思うんです。私はその供養に参加していませんし、現在の回復基調にその供養がどのように関係しているかどうかはわかりませんが、心機一転、前に突き進まなければいけない時に、キャラクターに“また力を貸してくれよ”という気持があったことは確かです」
その会社では、まだまだ混迷を極めていた当時、キャラクターの供養という行為が報道された場合、その真意が正確に理解されるとは判断せず、供養は会社の一部の人間で静かに行ったという。また、「A」で有名な某企業も「A」を供養したということらしいが、大企業ではそのような供養が頻繁に行われているのだろうか?供養の現状を聞いてみた。
「先ほども言いましたが大企業では神頼みというような形で供養をするところはあまりなのではないでしょうか?初詣や七五三のように近所のお寺か神社に詣でる感覚だと思います。ただ、私どもの会社では新たな出発に向けキャラクターを一新いたしました。ウワサだとあの企業の場合、『A』にマイナーチェンジを施し供養碑まで立てたそうです。その供養碑には『A』が彫り込んであるからすぐに分かるとか…。私達の会社ではさすがにそこまではしませんでしたが」
なんと、あの企業ではキャラクターである「A」を彫り込んだ供養碑があるというのだ!私達は霊能者としても知られるX僧侶にキャラクターの供養について話を聞いた。
「会社のイメージキャラクターを供養するというは非常にいいことだと思います。イメージキャラクターは企業とお客さんを結ぶ大切な役割を担っていますし、ロゴマークと違いキャラクターには目があります。そして目が存在する限り命が宿ります。命が宿っているキャラクターを供養することによりイメージ回復に非常に大きな役割を果たすことは間違いないでしょう」とイメージキャラクターを供養することの効果を明言した。
現在も不祥事に揺れている企業はたくさんある。今後都内の神社におなじみのキャラクターが彫り込まれた「キャラ供養碑」をたくさん見かける日もそう遠くないのかもしれない。