厚生労働省は大型連休期間に限らず、海外に出る人のために感染症予防についてホームページに情報を掲載している。昨年、日本でも感染者が報告されたデング熱やマラリアなど、特に海外で注意すべき感染症とその予防対策についてまとめているのだ。
もちろん、日本国内でも注意が必要なことは、昨夏の約70年ぶりの国内感染が確認されたことからも明らか。18都道府県、計162人が発症したが、デングウイルスを媒介する「ヒトスジシマカ」は、ある実験によると20℃以上の日が4日続くと羽化数は約2.4倍に急増するという。
ということは、既に「ヒトスジシマカ」が大量発生している!?
「デングウイルスにはI〜IV型まで4つのタイプがあります。最初の感染は軽症の場合が多いのですが、別のタイプのウイルスに再感染した場合、デング熱とは異なり出血症状を呈する『デング出血熱』を発症するなど、重症化し死に至るリスクが高まるのです。また、デング熱は感染しても発熱などの症状が出ない『不顕性感染』というものがある。要するに気付かないうちに感染しているケースで、実際の罹患者数の5〜7割にあたる人が不顕性感染者というデータもあります」(国立感染症研究所)
昨年の罹患者の5〜7割が不顕性だったとすれば、数百人が感染に気付かなかったということになる。
「加えて国内感染例以外にも昨年、国外感染の発症例(輸入例)が179例ありました。計341例が報告されているわけです。しかもこれは判明している分だけです。国内にいる不顕性の感染者が累計千人単位で“潜伏”していてもおかしくないのです」(感染症専門医)
病原体に国境はない。