このレースは3着までに入れば、1年間S級2班に上がれるレースだけに、けん制があっても不思議はないのだが、それにしても過度のけん制だった。
最近はGIII戦でもFI戦でもスタートのけん制が多くなっているが、前につくとジャンで抑えられ、引けばまくりの展開になるケースが多く、またはジャンで突っ張って1周半先行をしなくてはならないつらさが先行選手にあるだけに、前につきたがらない。
「なんとか3着まで」と計算すれば、うしろから攻めるほうが有利と考える先行が多い。このケースでは普通6番車がスタートを切って誘導員を追い、一応の隊列が出来上がるのだが、若手の竹山にしても白川にしても前には行きたくないし、追い込み型は前に行けば混戦のレースでは番手キープに紛れてしまうこともある。
いずれも相手の動きを見すぎたのだろう。9選手の気持ちは分からないでもない。A級とS級では賞金が違う。
優勝劣敗の原則からいえば当然だが、S級にいればGIIIやGIIに参加できるチャンスもある。
この失格で疋田敏(愛知)島田裕二(群馬)小野大介(福島)は得をしたことになるが、不成立になった10レースのメンバーの矢端、宮路、竹山、中畑、磯野、川上、白川、丸本の8人が1月からS2にランクされていただけに、惜しいミスでもある。
スタートのけん制は、先行選手の力がA級では特に接近しているからでもあるが、異常なレースは変な疑惑をもたれかねないから、9選手のだれか侠気のある選手が出て欲しかった。
共に「魔がさした」としかいえない。