一方で、栗東の倍以上の歴史がある美浦事務所が誇る“社宝”の大型ファクスは今もピンピン。そういえば、先週のAJCCでようやく関東馬が2009年初めての重賞勝ちを決めた。我が社のファクス同様…は大げさにしても、流れは関西馬→関東馬に傾きつつある。
毎度のことだが、同レースも関東馬は少ない。ただ、その中にイキのいい昇り竜が一頭。今回、我々が目をつけた◎ナンヨーヒルトップがそれだ。
東西合わせても唯一の赤門(東大出身)トレーナーである小笠調教師が「ここにきてトモがドッシリしてきて、グンと力をつけている」と熱っぽく語るように、まさに充実一途の4文字がピタリと当てはまる。
その象徴が2走前のカペラSだ。直線は内に閉じ込められ、追い出しのタイミングが遅くなる致命的な不利。それでも、ゴーサインがかかるとグイッと脚を伸ばし、最後はレコード決着の0秒5差5着まで追い込んだ。この内容にはトレーナーも「展開が違っていたら、結果も違っていたはず」とかなりの感触を得ている。
今回、ナンヨーをさらに後押しするのが距離短縮、コースがわりだ。東京ダ1400メートルは3走前の秋嶺S、2歳時の500万戦でともに後続に7馬身をつけて圧勝した願ってもない舞台。幅員の広い府中なら、2走前に被ったようなロスが、生じる危険性も少ない。
出馬表をじっくりと見渡した指揮官がポツリと言った。
「『これは強い』と思うのはバンブーエールくらい。千四が一番競馬がしやすいし、能力さえ出し切れれば、ここでもやれる手応えは十分に持っている」
自在性があり、展開は不問のタイプ。配当的にも妙味タップリで、ここは狙わない手はない。