サイバーファームは、上海CNPCが製造した石油代替エネルギー=バイオディーゼル燃料を年度内は試験販売、来年度から本格的に販売する。
現在は試験段階で非食用パーム油を使用しているが、新しい材料として09年度から「ジャトロファ」という植物の果実から採れるバイオディーゼル燃料を、アジア・アフリカ地域で大量に製造し、沖縄に備蓄。中国が直接販売できない台湾に、フリーゾーンの沖縄を経由してサイバーファームが販売する。
「ジャトロファは、油分の多い果実を大量に収穫できる品種を改良によって作出した」(上海CNPC・余代表)
「ここ数年、人の縁で始まった交流で、物流・流通支援から生まれたプロジェクト」とサイバーファームの半田社長は説明する。
サイバーファームが目指す初年度09年のバイオディーゼル燃料の年間販売目標は「最低24億円」という。同社は、沖縄に安定供給を目的とした備蓄基地を、上海CNPCとの共同出資で建設予定。用地を選定中で09年度中に着工するという。
この提携がアメリカ企業から注目される理由がある。上海CNPCグループのCNG物流が51%の株式をもつ青島石油がナスダックに上場していることと、アメリカ民主党ロビーと極めて近い関係にあるからだ。
アメリカの利権構造の中で、現政権の共和党は石油利権、一方のオバマ次期大統領率いる民主党は原発のリッコーバー以来、カーター、クリントンと原子力利権の代弁者が続いている。
北朝鮮にKEDOの原発利権の軽水炉を売り込みに行ったのがカーター元大統領であったことからもそれが分かる。しかし、オバマ氏が対立候補だったヒラリー・クリントン氏の利権に素直に縋(すが)ることは考えられず、次期政権のテーマのひとつが「エコ」であることからも、石油でも原子力でもない代替エネルギーは注目を集めそうだ。
○上海石油企業集団有限公司(上海CNPC)
20社を超える子会社から構成される国営企業グループ。四川省でパイプライン事業と物流を主な事業とするCNG物流は、中国国内の物流企業最大手。
○ジャトロファ
熱帯アメリカ原産のトウダイグサ科の落葉低木。アフリカ、インド、南アフリカなどの比較的、高温乾燥地域に自生。これまでは、垣根や薬用石鹸の原料として使われる程度だった。土質を問わず、荒地や年間降雨量600ミリ程度の地域でも栽培可能。毒性があり、食用にはならない。英語名・Jatropha Curcas 和名・南洋アブラギリ
(写真=中国上海CNPCの余代表(右)と握手するサイバーファームの半田代表取締役)