フランシスコは右投左打の内野手。2004年にレッズ入りし、09年にメジャーデビューした。その後、ブレーブス、ブリュワーズ、レイズなどを渡り歩いた。
「試合前のフリー打撃を見ていると、本当に凄い。レッズ時代、デイビット・オーディスと並んでも引けは取らないし、当時は凄い若手が出てきたと期待していたんですが…」(メジャー情報に詳しいジャーナリスト)
デイビット・オーディスとは、本塁打王1回、打点王2回、シルバースラッガー賞6回などのバットマン・タイトルに輝いたメジャーを代表するパワーヒッターだ(14年シーズン時点の成績)。その彼と並んでも「引けを取らない大飛球を放っていた」というのだから、かなり期待されていたのだろう。
「フランシスコがその素質を開花させられなかった理由は3つ。とにかく、守備がヘタクソ。サードの守備に付いたこともあるが、守備範囲が狭すぎる。ファーストを守らせても、エラーの数も多い。13年は67試合に出て、10失策。しかも、彼の場合、『スローイング・エラー』も多い。一塁のベースカバーに入った投手に暴投したり…。性格的にもノンビリしているというか、所属チームが『これ以上増えたら罰金』と体重維持・減量を命じても、全然、危機意識がない。罰金を払い、反省を口にしてもまたしばらくすると、体重オーバーで罰金を課せられていました」(前出・同)
3つ目の理由は、自慢の打撃も弱点があるからだという。「変化球が苦手」とされ、とくに、緩急をつけられたピッチングや、スライダー系の変化球に対応ができず、「対左投手が苦手なバッター」とも評されてきた。三振も多いという。
三振。たしかに、デビューからの2試合・8打席で4三振を喫している。また、「対左投手」の成績だが、数値にも表れている。昨季は出場機会に恵まれず、出場試合数は多くないのだが、対右投手の打率が2割3分8厘だったのに対し、対左投手は1割1分8厘まで落ち込む。
デビュー2戦目に対戦したのは、奇しくも全て左投手だった。技巧派・能見からは3打数1安打。しかし、2三振を喫しており、高宮、島本との対戦でも快音は聞かれなかった。「左投手が苦手で、三振が多い」という情報は間違いないようだ。
「12年から13年オフに掛け、巨人渉外担当者が獲得のアタックを掛けております。巨人サイドは高く評価していると思われます」(球界関係者)
変化球に対応できないパワーヒッターが日本球界で成功した例は決して多くない。
こうしたフランシスコの苦手情報は他球団も入手しているはず。しかし、ネット裏のスコアラーたちはデビュー戦を視察し、「ちょっと違う印象」も抱いたという。
前出・スコアラーはデビュー戦の対戦投手が藤浪晋太郎だったことを指して、こう言う。
「変化球が苦手だとは聞いていたが、速いボールにはきちんと対応できるという意味ではなさそうだね。藤浪のように150キロ台後半の球速をマークできる投手は多くないが、速球派投手との対戦では相当苦しむと思う」
苦手とされる変化球についてだが、「視察データがまだ少ないが」と前置きしたうえで、こうも話していた。
「いや、高めの変化球には対応できている。藤浪から放った決勝打はカットボールを打ち返したもの。実は、藤浪は2球続けてカットボールを投げており、その2球目を打たれました。最初に放ったカットボールは低めに決まったが、打たれた方の2球目はやや高かった。低めの変化球にどう対応するか、もうしばらく調査してみたい」
苦手とは言え、全く手が出ないという意味ではないようだ。
フランシスコの加入により、打撃不振が長引く村田修一のスタメン落ちも予想されている。故障の阿部慎之助が帰ってくれば、「一塁・阿部、三塁・フランシスコ」の布陣になるという声と、「捕手・阿部、一塁・フランシスコで固定するのではないか」なる予想の両方がある。いずれにせよ、原辰徳監督がフランシスコに期待していることを前提としての予想だが、セ5球団は急ピッチでのデータ収集を進めている。あまり肩入れしない方が良いと思うが…。