A:PM2.5は、大気中に漂う微粒子のうち、直径2.5μm(マイクロメートル)以下の特に小さいものです。髪の毛の太さの30分の1で、通常のマスクを素通りします。
主な発生源は工場の煤煙や車の排ガスで、大量に吸い込むと気管支ぜんそくや気管支炎、肺がん等の健康被害が懸念されると報道されています。
心臓発作で死亡する例が激増するとか、糖尿病の原因になるとか、さらにはPM2.5が付着した黄砂は脳梗塞のリスクが高まるなどの情報も出ています。日本ではPM2.5について環境基準を作っており、大気中の濃度を1年平均で1立方m当たり15μg(マイクログラム)以下、かつ1日平均で同35μgが望ましいとしています。
問題は、中国で発生したものが日本に飛散してくること。それに関して、環境省は専門家会議を開き、基準値の2倍を超えると予測される日には、都道府県が住民へ外出の自粛などを注意喚起することを柱とする指針を決めました。
●健康な人は気にし過ぎないほうがよい
具体的には、1日平均のPM2.5濃度が国の環境基準である大気1立方m当たり35μgの2倍に当たる70μgを超えると予想される場合、都道府県が注意喚起します。
ただし、呼吸器系や循環器系疾患のある人やお年寄り、子供は70μg以下でも影響を受けやすいため、注意が必要としています。
注意喚起として「行動の目安」を挙げ、「不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らす」こと。特に心臓や肺に持病のある人や高齢者、子供ら影響を受けやすい人は「体調に応じて、より慎重に行動することが望まれる」としました。
大阪や九州では基準を超える日がすでにありました。とにかく、PM2.5の害を完全に避けたいなら、空気清浄機の付いた部屋に閉じこもるか、対応のマスクを24時間装着しておくしかないでしょう。しかし、人間は動物ですので運動しないと病気になります。
ところで、日本ではまだ北京の何百分、何千分の1の濃度ではないでしょうか。気管支や肺、心臓に病気がない人は、よほど大量に飛散しない限り外に出て運動したほうが良いと思います。
なお、PM2.5に対応できるマスクは品薄のようです。普通のマスクなら二重にして、内側、外側を濡らして湿らしておくと、粒子の侵入をブロックできる可能性が高くなります。
牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を牧病院(大阪市)で実践。小山病院(大阪市)院長。