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友成那智 メジャーリーグ侍「007」 MVP級の活躍が期待される「ダルビッシュ有」と上原浩治

 メジャーリーグは10月2日にレギュラーシーズンが終了し、ポストシーズンゲーム(プレーオフ)に突入する。今季は日本人大リーガーが4人出場するが、それぞれの期待度はどれくらいあるのだろう?

■ダルビッシュ有(レンジャーズ)活躍期待度:A
 レンジャーズはレギュラーシーズンをア・リーグの最高勝率で終える可能性が高い。バニスター監督はポストシーズン進出が早い段階で確実になったため、9月中旬にローテーションを組み換え、先発の2本柱であるコール・ハメルズ(左腕、今季14勝5敗、防御率3.42=数字はすべて9月21日時点)とダルビッシュ有(右腕、今季5勝5敗、防御率3.81)が地区シリーズの第1戦と第2戦に、万全の状態で先発できる体制を作った。
 第3戦は8月末から好投が続く若い左腕マーチン・ペレス、第4戦はポストシーズンで活躍した実績があるコルビー・ルイス(ないしはホランド)が起用されると思われるが、第5戦は先の1、2戦で先発したハメルズとダルビッシュのうち、調子のいい方が起用されるだろう。

 同監督が特に大きな期待を寄せているのがダルビッシュだ。なぜならハメルズがシーズン終盤、深刻なスランプに陥っているからだ(9月の月間防御率9.88)。
 ダルビッシュもシーズン終盤はジェットコースターのように調子の波が大きい展開になっているが、万全の状態でマウンドに立った時のダルは速球、スライダーともキレがよく好投するケースが多い。

 ベストのシナリオは、ダルビッシュが地区シリーズで2勝してチームをリーグ優勝シリーズに導き、このシリーズでもダルが2度先発して2勝し、チームのワールドシリーズ進出を実現するという展開だ。
 ダルビッシュはトミージョン手術から復帰後、速球のスピードが2、3キロアップし、好調時はスライダー依存をやめて、150キロ台中盤の豪速球で押しまくるパワーピッチングを見せるようになった。地区シリーズ、リーグ優勝シリーズで対戦が予想される4チームのうち3チームは、まだパワーピッチャーに変身したダルと対戦していないので、変身したダルを打ちあぐねる可能性は大いにある。

■前田健太(ドジャース)活躍期待度:B
 マエケンは先発3番手としてポストシーズンに臨むことになる。シーズン後半(7月15日以降)、マエケンは7勝3敗でコンスタントに白星を稼いでいるが、4回までは好投しても5回〜7回にかけて連打を浴びるケースが多く、投球内容は前半より悪くなっている。そのため地区シリーズでは先発で好投してもロバーツ監督は大事を取って5回終了時点で交代させるだろう。出来がイマイチの場合はもっと早い時点での交代もあり得る。そのため、マエケンは勝ち投手になるならないよりも、まずゲーム中盤の踏ん張りが重要になる。

■上原浩治(レッドソックス)活躍期待度:A
 上原は7月中旬、胸の筋肉を傷めDL入り。時間がかかることが多いPRP療法(多血小板血漿療法)による治療を受けていたため、今季中の復帰は絶望的と思われていたが、同療法が効いて回復がことのほか早く、9月上旬に復帰が叶った。
 復帰後は伝家の宝刀スプリッターの制球が安定し好投が続いている。そのため、セットアッパー陣が弱体というチーム事情もあり、ポストシーズンでは8回担当の守護神として出番が多くなりそうだ。'13年のリーグ優勝シリーズではMVPになった実績もあるので、地元ボストンでは「コージ」への期待が高まっている。

■田澤純一(レッドソックス)活躍期待度:B
 田澤は8月に入って一発や四球から失点するケースが多くなり、8月18日に滅多打ちにあったのを機にセットアッパー(勝ちパターンのリリーフ)からミドルリリーフ(負けパターン、点差が開いた場面のリリーフ)に降格となった。そのため、ポストシーズンゲームのメンバーに入れない可能性が出ていたが、9月中旬に復調し何とかメンバー入りはできそうだ。しかし今季は、走者が塁にいる場面で火消し役に起用されると、やたらに打たれるケースが多く、ファレル監督の信用を失っている。'13年のポストシーズンのように、味方がピンチになるたびに田澤が呼ばれるようなことはないだろう。

■川崎宗則(カブス)メンバー外
 カブスはワールドシリーズ優勝の本命と見なされているが、川崎がカブスのポストシーズンゲームのメンバーに入る可能性はほとんどない。カブスは内野の陣容がメジャー1と言っていいレベルで、内野の控え1番手のハビエア・バエズが13本塁打50打点、2番手のラステラもトップレベルの出塁率をマークしている。川崎は内野の控えの3番手だが、ポストシーズンでメンバー入りできる内野の控えは2人までなので、バエズかラステラが故障しない限りチャンスはない。

ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。

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