昨秋来の野球賭博、清原の麻薬事件などで、貧乏くじを引かされた感があった由伸監督。ところがどっこい、その危機感がロケットスタートにつながったのか。川上哲治、長嶋茂雄、王貞治、原辰徳といった歴代の名監督でもできなかった快挙をやってのけた。
ようやく普段の落ち着きを取り戻した巨人だが、由伸監督とてこのまますんなりとは思っていない。いつ野球賭博、闇カジノ、薬物問題が進展し、第5、第6の処分選手が出てこないとも限らないからだ。折しもリオ五輪金メダル候補だったバドミントン、桃田賢斗選手の賭博問題は、写真流出騒動に発展。この先、巨人選手のスキャンダル写真が流出するかもしれない。そうなれば警視庁も待ってましたと動き出す。
有事に備える意味で敢行したのが、11日に発表した巨人・大累進内野手と日本ハム・乾真大投手との交換トレードだ。
大塁は'12年ドラフト2位で入団。一軍出場は2試合だが、50メートル5秒7の快足が最大の売り。由伸巨人の秘密兵器として期待されていた。
一方の乾は、直近2年は7試合だけの登板だが、中継ぎとして過去5年の登板数は67試合と実績十分。
比べて見ると、どうみても不均衡トレードだが、巨人は“平成の黒い霧事件”で4投手が解雇され、中継ぎ陣が手薄な状態だった。
とりわけ開幕直前にチームを去った高木京介の穴を埋めるロングリリーフ左腕がよほど欲しかったのだろう。
しかし、北海道の地元紙記者は違った内情を明かす。
「実はこのトレードで巨人が狙っていた本命はハンカチ王子、斎藤佑樹投手(27)でした。巨人首脳は以前から斎藤に注目していて、“修正点は明確。先発も中継ぎもできる。阿部慎之助に預ければ覚醒する”と期待しているのです。日本ハム側も巨人なら斎藤の看板に傷はつかないと、快く送り出す方針でした。巨人で経験を積ませ、いずれは日本ハムの指導者として復帰させよう、という青写真があったからです」
すぐに実現しなかったのは、成立直前の8日に発覚した桃田選手の“桃色スキャンダル”が原因だ。桃田選手の闇カジノ店への出入りは既報の通りだが、ほぼ同じ時期に違法スロット店にも通っており、その際、錦糸町のカラオケスナックママを同伴させていた。
「桃田選手は、このスナックに10回ほど通っていたそうで、ママに誘われてカジノ店に行ったということも分かりました。そのママとの“キス写真”が一部メディアに出回ったことで巨人サイドが斎藤獲得を保留したのです。この写真を巡っては桃田選手に闇社会の人物が接触し、彼の関係者がそれを警察に相談に行ったことで、一連の闇カジノ店への出入りが発覚した経緯があります。警察は美人局の可能性も視野に入れて捜査中で、その一連の状況は読売新聞社会部も取材しており、巨人首脳は斎藤の身体検査を再調査しだしたのです。札幌には錦糸町をはるかに上回る繁華街のススキノがあり、闇社会が介在する店舗も少なくない。ハンカチ王子は道内きってのモテ男。念には念をと…」(スポーツ紙デスク)
時期が時期だけに、斎藤獲得を少し先延ばしにしたのだ。一方、日本ハムも巨人の見返り選手について疑念を抱いており、「この時期に巨人が放出する選手は要注意」と調査中だ。しかし、これは時間の問題。双方が納得しさえすれば、日本ハムとの今季トレード第2弾が成立するという。
闇賭博に複数の選手がかかわっていたことで、人気に陰りが見え出した巨人。そこで元神宮のスター選手、由伸監督(慶大)と斎藤(早実→早大)の二枚看板で失地回復という目論見。「敗戦処理なら斎藤で十分。観客も喜んで一石二鳥」というしたたかな計算がある。
巨人は去年の先発ローテーション投手だった内海哲也と大竹寛がキャンプから出遅れ、右肩と足を痛めた阿部とともに二軍で調整中。3月30日にプロ初先発を果たした新人の桜井俊貴は直後に右ひじ故障で登録抹消。4番ギャレットは体調不良が続き、坂本勇人も足に爆弾を抱えたままだ。
春先は何とかしのいでも、開幕ダッシュの反動が出る5月末の交流戦以降、ズルズルと負けが込みだす可能性がある。
その時期に照準を合わせ、触手を伸ばすのが、かつてのアイドル投手…。起爆剤にもなるし、たとえ打たれても話題になる。
どっちに転んでも、こんなに都合の選手はいないというわけだ。