「應武氏が巨人を快く思っていなかったとしても、それは早大には関係ないはず。同氏は社会人・新日鉄君津(当時)の監督だった時代に、巨人スカウトと衝突していますが…」(同)
その衝突は'96年ドラフト会議前に起きた。巨人スカウトが、新日鉄君津の主砲だった松中信彦が指名リストに入っていることを伝えに行くと、應武氏は「清原(和博)をFAで獲るんだろ? 一塁守備で重複するから、松中はやれない」と、食って掛かった。松中の打撃はともかく、一塁以外の守備はプロでは厳しいとされていた。
清原の巨人入りは懸念通りになったが、「FAはドラフトの後。清原を獲る、獲らないは約束できない」と、巨人側は反論。和解できないまま應武氏も新日鉄君津を退き、早大監督に転じてしまった。同氏の巨人嫌いは、早大関係者も聞かされていたという。
「清宮は才能だけではなく、お客を呼べるスター候補。早大側も東京六大学リーグを盛り上げてほしいという思いも強いが、仮に本人がプロ志望だとしたら、『大きくはばたいてほしい』と願うはず。そんな親心もあって、巨人に預けて大丈夫なのか、と思うのでしょう」(アマチュア野球要人)
プロ側は「清宮は進学しない」と読んでいる。父・克幸氏は選手、監督として早大ラグビー部を優勝に導いたカリスマだが、現在はラグビートップリーグ、ヤマハ発動機ジュビロの指揮官である。早大愛はあっても、「才能ある選手が進学で遠回りするリスク」を“プロの監督”として熟知している。巨人も「清宮はプロ入り」と見ているというが、高橋由伸監督と堤辰佳GMはライバル慶応大の出身だ。
「高橋監督は試合中、無表情なので学生たちからの好感度はイマイチ。また近年、早実は4番を打つ野村大樹を始め、関西からの越境入学者が増えています。阪神を見て野球を始めた者ばかり」(同)
“元ドラ1”の存在もある。'07年1位で、3年目のオフに解雇した元巨人・村田透(31)が米マイナーリーグで揉まれ、7年ぶりにNPBに帰還する。日ハム入りした村田がローテーション入りすれば、「本当に育てる気があったのか?」と疑われてしまう。
早実のセンバツ出場が確実となり、清宮人気はさらに高まるはず。巨人も複数体制で視察するはずだが、「門前払いされる」なんてことにならないことを願う。