阪神・金本知憲監督(49)がキャンプ、オープン戦で新助っ人のウィリン・ロサリオ内野手(28)をキャッチャーで「テストしてみる」と話していた。プロ野球チームは「捕手3人態勢」で試合に臨むのがセオリーだ。ロサリオが「キャッチャーも務まる」と分かれば、金本監督は投手と野手のバランスも変更するつもりだ。
「試合登録できる選手数は28人。出場登録する捕手が2人に減らせるのなら、その分、リリーフ投手の人数を増やせます」(在阪記者)
外国人捕手は「日本では定着しない」とされてきた。言葉の壁、コミュニケーションの問題もあるからだ。また、バントシフトなど1球ごとにサインを変えるため、不向きとされる。しかし、こんな情報もある。
「ロサリオは捕手でメジャーデビューしました。メジャーリーグのロッキーズ時代は強肩で知られ、昨季まで在籍していた韓国・ハンファでは、基本的に一塁手でしたが、自ら志願してマスクをかぶった試合もあります。今年1月のウインターリーグにも捕手で出場していました」(特派記者)
金本構想は直接聞かされていないはずだが、来日に先駆け、キャッチャーミットも新調している。やる気満々で、「阪神で最も肩の強い捕手はロサリオじゃないか!?」(同)との声もある。
「好機で捕手に打順がまわってきても、監督は代打を出しにくいんです。捕手は怪我のリスクを伴うポジションなので、万が一のことがあったら、試合が成立しなくなるからです。巨人の阿部慎之助が衰え、今、12球団には『打てる捕手』が見当たりません。ロサリオが捕手もできるのなら、その時点で阪神は他球団にないストロングポイントを持つことになります」(スポーツライター・飯山満氏)
それだけではない。中日の森繁和監督も今オフ、外国人捕手を視野に入れていた。新助っ人探しの際、「正捕手不在と4番、2つの弱点を一度に埋めてしまおう」というものだ。投手出身の指揮官が外国人捕手論を口にしたということは、「日本人でなくても務まる」との勝算があったのだろう。
「金本監督は打撃優先のチームを作ろうとしています。去年の今頃、ロサリオと同じ役目を原口文仁に託そうとしていました。捕手2人制は、金本監督の温めていた構想でもあるのです」(阪神関係者)
ロサリオ本人も捕手をやりたがっているのだから、気持ちよく打席に立たせるためにも、テストだけでもやる価値はありそうだ。
「阪神投手陣の中で捕手が構えたところにちゃんと投げられる投手が何人いますか? ベテランの能見篤史くらいのものでしょう。球種を決めるサインが心配なら、ベンチから出してやればいい」(前出・在阪記者)
阪神は正捕手不在に長く悩まされてきた。「キャッチャー・ロサリオ」は大砲不在だけではなく、一挙に2つの問題を解消してくれる妙案となるかもしれない。