経済偉人伝 早川徳次(シャープ創業者)(77)

社会 2009年06月27日 15時00分

 昭和35(1960)年、テレビのカラーによる本放送が開始すると、それに合わせて早川電機工業はカラーテレビを発売した。またも国内初の市販カラーテレビだ。

 昭和26(1951)年と32(1957)年、徳次は事業の視察を兼ねて欧米諸国の福祉事業も見て回った。その際にアメリカで目にした「ABILITY not disability COUNTS」(欠如能力ではなく残存能力を考える)という標語に徳次は感銘を受けた。同情と友情だけが救済の道なのではなく、それぞれの(障害者の)持つ能力を生かし、仕事に世間に寄与できる道を開くこと、そう出来ることを証明することが大事なのだという徳次の考え方にも影響を与えている。徳次は特選工場を開設するなど、社会福祉に対する関心も高かった。

 RCAとの契約のため渡米してから2年後の昭和29(1954)年にはテレビ事業も軌道に乗ってきた。還歴も過ぎたこの年4月1日、徳次は共働きや身体障害者家庭の子供を預かる保育園を開設し、自ら園長を務めた。
 保育園の名前は「育徳園」。育徳園に障害者を招待して餅つき大会を開催したことがある。その時、保育士だった竹垣幸子が、両手のない方達にどのようにお餅を召し上がっていただこうかと思い迷っていると、徳次がやって来て、いつもの江戸っ子のべらんめえ口調でこう言った。
 「何を迷ってるんだ。普通に出しゃあいいんだよ、2本の箸を付けて。それで食べにくけりゃあ、ああしてほしい、こうしてほしいって言ってくるよ。どうしてやろうなんて大それたことを考えるな」と。
 徳次は大阪府の身体障害者雇用促進会の会長を20年以上も務めた。徳次は事業主たちに“人手がないから(仕方なく)とか、かわいそうだから身障者でも雇うといった態度でなく、もっと積極的に雇い、適正な仕事を与え、決してハンディキャップがあるからという扱いをしないようにお願いしたい。私の経験から見て、身体障害者には適材適所さえ配慮すれば、決して普通の人の能力とかわりがない”と説いた。

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