「現在、“国産ウナギ”といっても、半数以上が外国産の稚魚であるシラスウナギを国内で養殖したもの。このところ、シラスウナギの漁獲量が激減し、国内の漁獲量はピーク時の昭和30年代に全国で200トンを超えていたのが、昨年は5.2トンにまで落ち込んでいる。理由は乱獲やダム、水路の建設で成魚が川を上れなくなったことによるとされ、このまま環境が悪化すれば、ますます漁獲量は減ると見られます」(サイエンス記者)
そんななか、業者が新たなウナギを求め世界中を駆け回っているという。
「今、注目を集めているのは、アフリカのマダガスカルに生息しているウナギと、フィリピンやインドネシアのウナギなどです。中でも、最も日本ウナギに似ているのはモザンビークのウナギ。サイズはニホンウナギと同じで、味、脂分もそっくり。買い付けた業者が浜松の鰻屋で出したところ、上々の評判だったそうです」(グルメライター)
海外のウナギは蒲焼に適したものばかりとは限らない。大味で脂が強すぎるため、イタリアンや中華に回されるものもあるという。
「絶滅危惧種の指定は、世界的な国際自然保護団体であるIUCN国際自然保護連合が、絶滅の恐れのある動植物をレッドリストに加えたということ。そのため拘束力はありませんが、これが指標となりワシントン条約でウナギの国際間取引ができなくなれば、本当にウナギが食べられなくなる日が来るかもしれません」(前出・サイエンス記者)
まずは獲り過ぎを戒めたほうがよさそうだ。