そこで、ここ約6年の間に月平均約100件、合計7000件もの“格差婚”カップルのトラブルに関する相談が寄せられているという、離婚問題アドバイザーの露木幸彦氏に、その分析結果を聞いた。
「過去の相談内容から格差婚のケースを抽出し、相談の傾向、特徴を分析してみました。結果、“モンスター化”する妻のパターンが、四つに分類されることがわかりました。収入の格差は、そのまま夫婦の力関係に直結する。まず一つ目のパターンは、結婚費用を妻が出している時や住宅ローンを妻名義で組んでいる場合。夫婦喧嘩の際に妻が『誰がお金を出したのよ。ここに住めると思っているの!?』と言い出すと、夫は何も言い返せず黙るしかない。お金のことを盾にすれば問答無用で夫をけちょんけちょんにできるため、妻はどんどん増長し何をやってもOKという空気になる。結果、不倫や浪費、暴力など取り返しのつかないトラブルを引き起こしてしまうのです」
まさに札束で頬を叩かれているようなケースもあるというのだ。
二つ目は、働き盛りのキャリア妻の場合。交友関係が広ければ広いほど仕事は増え収入も増える。
「仕事の人脈の中には当然、男性もいるし、元彼がいるかもしれません。結婚後、何事もなければ仕事関係の男と一線を越えることはないでしょう。しかし、仕事や家庭のことで悩んで追い詰められた時、たまたま悩みを相談したことから不倫に発展…というのが、よくあるパターン。精神的に不安定だと、お酒は回りやすく、体を許してしまうこともあるのです」
夫婦喧嘩で先に手を出すのは夫というのが、世間一般のイメージだ。しかし、格差婚は妻が真っ先にキレる状況にある。それが3番目の特徴だという。
「キャリア妻は上司や部下、取引先の人間をある程度思い通りに操れる。ところが、家にいる稼ぎもない夫が、大きな顔をして自分名義の家に居座っている…。中には、家事も育児も手伝わず、生活費も入れずに妻の給料で好き放題やっている夫もいる。几帳面で完璧主義の妻が、そんな夫を許せるはずがありません」
このような状態では、ささいな喧嘩で妻から爆発する場合があるのだ。
「夫からの相談では、土下座する夫を足蹴にしたり、ワインボトルを投げつけるケースもありました。思い通りにならない場面になるとパニック状態になり、何をするかわからないのです」
4番目の特徴は、それまで順風満帆な人生を歩んできた妻の場合。彼女たちは自信家のため、人生灰色のままでは気が済まず、いちいち白黒をつけようする傾向があるという。
「何かにつけ妻の言動に干渉したい夫は、携帯電話の履歴やメールを覗き見しようとしますが、もちろん誰しも見られたくない。彼女たちは浮気を疑う夫に『どうせ何もないから見ないで欲しい』と言い返しますが、その言葉の裏には、『もし携帯を見て何もなかったらタダでは済ませない』というニュアンスが含まれているのです」
つまり、ケジメをつける“トラップ”が、思わぬところに潜んでいるわけだ。