「レンジャーズのミコラス、ポレダの2投手とは大筋で合意しつつあり、入団は確実。マシソンとは複数年契約がまだ残っており、アンダーソンも残留の方向で話を進めています。この時点で、支配下登録選手は67名まで膨れ上がっていて…」(球界関係者)
今秋のドラフトは即戦力の選手が少ないと言われていた。そのため、巨人は12球団最少の4選手で指名を切り上げ、70名の支配下登録枠には十分に空きがあると思われていた。しかし、事態は一変した。そうさせたのは、落合博満中日GM(60)だ。
「“4年前の恋人”がフリーになったと聞けば、気にするなと言う方が無理な話」(同)
吉川大幾内野手(22)が落合GMから非情の戦力外通告を受けたのは、10月30日のことだった。吉川は宮崎でのフェニックスリーグに参加していたが、怠惰な練習態度が谷繁元信監督(43)の逆鱗と触れ、強制帰還させられた。反省し、一人で練習していたところを呼び出され、唐突に「来季の構想に入っていない」と戦力外を告げられたのである。
「吉川には二軍戦で覇気のない走塁をした前科もありましたが、巨人はPL学園時代から高く評価していました」(名古屋在住記者)
巨人は身辺調査も行い、吉川の獲得に踏み切った。さらに原監督は、同じく中日を解雇された堂上剛裕外野手(29)にも触手を伸ばした。その堂上は11月9日に行われた『第1回12球団合同トライアウト』で6打数無安打だったが、「ヒット数の結果だけではなく、体のキレ、自軍チームの補強ポイントなどで総合的に判断される」のがトライアウトでのスカウティングだ。しかし、この2選手の獲得は「落合GMへの陽動作戦の意味合いの方が強かった」と指摘する声が挙がっている。
「外野手、左打者という補強ポイントがあったが、FA獲得した金城(龍彦=38)と重複する」(前出関係者)
29歳で大きな怪我もしていない堂上を、育成枠で契約するという矛盾した獲得方法になったのは、支配下登録枠が定員オーバーしそうだったからだ。
「今後はキューバ選手の獲得交渉が始まります。キューバ政府下の野球連盟に欲しい選手のリストを提出し、金銭面、起用法などが吟味され、日本の各球団に振り分けられるシステム。そのため、状況次第ではグリエル、デスパイネなど他球団で活躍したキューバ選手を強奪できるかもしれません。ただ、支配下登録の定員を考えると、巨人は予定していたキューバ選手の獲得を見送るのでは」(前出関係者)
巨人はグリエルかデスパイネを強奪し、さらに第一線で活躍するキューバ投手の獲得を狙っていたという。しかし、選手枠が足らないのだ。
支配下登録上限人数は70名。そこから5名程度の空きを作ってシーズンに臨むのが通常の方法だ。空き枠は、主力選手の故障などアクシデントが起きた場合に選手を補充できるように備えるため。さらには自軍育成選手に支配下選手登録を目標とさせる意味もある。
現時点(11月25日現在)で巨人の支配下登録選手数は67名。元中日選手を獲って、落合GMに心理作戦を仕掛けるためとはいえ、原巨人は自分で自分の首を絞める選手編成にしてしまっている。