「3月1日のオープン戦前、新人内野手の遠藤一星(ドラフト7位=前東京ガス)が外野ノックに加わりました。プロのユニフォームを着て1カ月でのコンバートですから、ちょっと驚きました」(スポーツ紙記者)
遠藤は中央大学、東京ガスを経て中日入りした25歳。20代半ばでドラフトも下位指名ながら「こんなに打撃が良い選手だとは思わなかった」と、偵察に訪れた他球団スコアラーから一目置かれる存在になっている。「二遊間でレギュラーを勝ち取るのではないか?」の声もあっただけに、突然の外野コンバートに驚いた報道陣も少なくなかった。
辻発彦野手総合コーチはコンバートの目的を「アイツを活かすため」と説明していた。その言葉の通りなら、俊足好打の遠藤は外野手として勝負することになる。
「遠藤は一年目から勝負しなければならない年齢です。本人も安定した社会人生活を捨ててのプロ入りですから、試合に出るためなら、ポシションにこだわりはないはず」(同)
落合GMは昨年、大島洋平との契約更改の席で「あの守備なら、オレなら使わない」とまで言い切った。選手会長でもあり不動のレギュラーとして球団タイ記録となる年間186安打を達成した大島だが、落合GMの査定した評価を元にした契約更改でこじれた経緯がある。大島は今年で30歳。まだ衰える年齢ではないが、一年目からがむしゃらにプレーするであろう遠藤が、結果的に“大島潰し”の刺客になる可能性は大いにある。
一方で開幕投手に関しても、訝しがる声が挙がっている
「他球団がシーズン中の予告先発のように次々と開幕投手を発表しているのに、中日はまだ公表されていません(3月10日時点)。順調に行けば、昨季セ・リーグ最多勝を挙げたの山井大介か、大野雄大(昨季10勝)だと思いますが…。エースの吉見一起は右肘の軽い張りを訴え、登板を回避しています」(同)
開幕投手候補の一角と目される大野は、3月8日の楽天戦で4回無失点と好投。同日2番手で投げた山井は3回3失点で、開幕投手候補同士は対照的な結果が出た。大野が開幕投手最有力と見るべきだが、ドラフト1位の野村亮介(21=前三菱日立パワーシステムズ)がいきなり開幕投手の大役をいきなり務めるのではないか、という噂がある。
「野村はどこも怪我をしていません。なのに、スロー調整でキャンプを送りました。いくら社会人出身とはいえ、新人投手に自己流調整を許すなんて…」(球界関係者)
落合GMは、自身の監督初陣でもある2004年の開幕投手に、故障で3年間全く登板のなかった川崎憲次郎(現解説者)を抜てきし、ファンを驚かせた。後年にこれもオレ流采配であったことが明かされている。再起を目指す川崎氏に対し、最も調整しやすい方法として、「開幕に投げろ」というスケジュールを与えたのだ。このときの、川崎氏が自己調整をしっかり行って開幕投手を務めたという流れは、今年の野村の調整法とだぶって見える。
中日は社会人ルーキーたちが抜擢されそうな下地が固まりつつある。シーズン中にはさらに“オレ流チーム改革”が進んでいきそうだ。