本好きのリビドー

ノンジャンル 週刊実話 2019年09月08日 06時03分

本好きのリビドー提供:週刊実話

◎悦楽の1冊
『ポップ1280』 ジム・トンプスン/三川基好訳 扶桑社ミステリー文庫 850円(本体価格)

★孤高の作家の代表作が文庫化

 ここ1、2年の間にあれよあれよと未訳の長篇が続々文遊社から翻訳刊行されて(中には不可能といわれた『殺意』まで!)、ジム・トンプスンの愛読者にとってはひたすらご同慶の至り。だが、今夏にめでたく復刊したばかりの本書こそ、ぶっちぎりの最高傑作であることは論を俟たないところ。同じく扶桑社ミステリー文庫刊の『おれの中の殺し屋』と双璧の圧倒的な悪夢感において、これから触れる初心者はこのどちらかを絶対、必ず通過せぬ限り“トンプスンを読んだ”ことにならない。それだけは念入りに釘を刺しておく。

 凝った物語の舞台設定も、周到に張り巡らされた伏線も一切なし。一読でうなるような卓抜な比喩表現がさりげなくちりばめられてある訳でなく、忘れ難く謎に満ちた魅力的な人物像が造型されてる訳でもない。芝居で例えれば、幕が開いてもステージに丸太ん棒が一本転がっているだけかのような、存在でないぞんざい感。加えて一人称の語り手のぶっきらぼうな独白から…おっとここまで書いただけでも、はやネタバレの危険性が憚られるほど。あとは手に取って没入してくださいとお茶を濁すしかない。

 題名を直訳すれば「人口1280人」、この味も素っ気もないタイトルっぷりも曲者で、気が遠くなりそうに退屈なアメリカの田舎町に、主人公は保安官。彼が抱えるのは「多すぎて」「どうしたらいいか皆目見当がつかない」「心配ごと」。ストーリーを語るきっかけに仮に落語家が三題噺のお題よろしく、客席からぽんと投げられたとしても、本作品のごとき展開には到底たどり着けなかろう。しまいに虚構の枠を超えて思えてくるのは、もはや作家のテクニックではないのではという疑問。天然のみで書かれたなら、やはりイカれてる。_(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】

 あの田原総一朗が日本のセックス事情のルポを書いた。とはいえ不思議でも何でもなく、田原氏は80年代にも人妻の不倫やスワッピングなど、当時にあって最先端の性のルポルタージュ『飽食時代の性─セックス・ウォーズ』(文藝春秋)を執筆している。30年以上の時を経た新刊のタイトルは『シルバーセックス論』(宝島社/1600円+税)。高齢者の性が題材だ。

 硬派なジャーナリストが書いただけに、取材は突撃型。AVメーカー・SODを訪れ、自らVR(ヴァーチャル・リアリティー)型アダルトビデオを視聴。VR型とは、映像が流れる特殊ゴーグルを装着し、3D立体型の映像を堪能できるもの。これを体験し、驚嘆の声を上げる。

 また、今や大半の業者が高齢者をターゲットとした風俗業界の経営者や、接待を担う風俗嬢たち(現在の平均年齢52歳という事実も含め)へのインタビュー、シニアの婚活の実態など、取材は多岐にわたる。

 田原氏が特に興味を持ったのは、セックス・カウンセラーの宗美玄さんとの出会いだったことも語られている。この出会いで、田原氏は高齢者の男と女とでは考え方にギャップがあることを悟る。男は生涯現役だが、女は“枯れる”ことを。

 目をランランと輝かせるかのように、宗さんの話に耳を傾ける田原氏の姿が目に浮かび、親近感が湧く。そう、この本は85歳のジャーナリストが、自分と同じ世代の男たちの飽くなき性欲を追求した1冊なのだ。そこが面白い。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

【昇天の1冊】 著者インタビュー 大木亜希子
アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア 宝島社 1,400円(本体価格)

★アイドルを終えた先にも_人生の続きがある

――現在、ライターとして活躍している大木さんですが、元SDN48のメンバーで紅白にも出場したことがあるとか。もともと、アイドル志望だったのですか?
大木 アイドル志望ではありませんでしたね。中学3年の時、大手事務所から声を掛けていただき女優としてキャリアをスタートさせたことが芸能界に入ったきっかけです。それまでは千葉県の田舎でのびのびと育っていたんですけれど、そこから人生が一変しました。毎日レッスンを受けて、各局のテレビドラマにも出演させてもらって。
 でも、なかなか次の仕事につなげることができずにいて…。SDN48に入ったのは、19歳の終わりに「これが最後のチャンスかも」と思い、オーデションを受けたことが始まりでした。

――実際にアイドルを経験して感じたことは?
大木 当時の盛り上がりはすごいものでしたね。例えば、あまり知られていませんが、握手会のバックヤードには臼と杵があって、十五夜にはお餅がつけるようになっていたんですよ。表に立つ女の子達に少しでも楽しんでもらいたいという配慮が感じられ、華やかなムードでした。
 その勢いや流れに負けないように、私も毎日ヘトヘトになるまで劇場で踊り、SNSに“盛れている自撮り”を投稿したり…。でも、写真に写り込んでいない下半身は疲れていてボロボロのジャージ姿でした(笑)。

――NGT48の事件が物議を醸しました。どのように感じていますか?
大木 真実が明らかにならない以上は軽々しく意見を言ってよいものだとは思いません。ただ、今回、本を書かせていただいたことで感じたのは、“アイドルを終えたその先にも人生の続きがある”ということです。
 私自身も、現在はライターとして活動しているからこそ、“自分の身を置く環境により、自然と自分の考え方は形成される”と実感しています。この本が元アイドルの女性達にとっても、“人生を照らす道標や指針”として少しでも役に立ったらうれしいですね。

――本書では、元アイドル8人のセカンドキャリアが紹介されています。実際に取材して印象に残ったことはありますか?
大木 この本に登場する元アイドルの女性は、みんな現役時代にさまざまなことで傷つき、悩みながらも、今はキャリアを次に進めている勇ましい人達ばかりです。単純には前向きにはなりきれない、どうしようもなさを抱えながらも、下を向いてはいません。そんな女性たちの覚悟を1人でも多くの読者に知ってほしいです。
(聞き手/程原ケン)

大木亜希子(おおき・あきこ)
1989年8月18日生まれ。千葉県出身。2005年、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』で女優デビュー。’10年、SDN48のメンバーとして活動開始。その後、タレント活動と平行しライター業を開始。’18年、フリーライターとして独立。

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