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でんぱ組に批判殺到! 「観劇コスプレ」はマナー違反なのか?

 でんぱ組.incのメンバー、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美が舞台ファンやアイドルファンからの批判を呼んだことは記憶に新しい。でんぱ組の3人が、知らずに“ヤラカシ”てしまった観劇マナーとは? 「オタク」ならではの、願望や嫉妬心が関係している?

 先月、男性アイドルを育成するスマホゲームの舞台版『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』を観劇したでんぱ組の相沢、夢眠、成瀬。3人は同ゲームの大ファンで、舞台当日には登場キャラクターを真似たコスプレ姿で来場したという。これが批判の火種となった。

 コスプレと言っても、頭に大きな飾り物を着けるなど、後方からの視界を妨げるものではなかった。舞台の公式サイトでも、私語、大声、飲食、携帯電話など、周りに迷惑をかけるような通常のマナー違反に関しては注意を促しているものの、コスプレを禁止してはいない。コスプレ自体は、迷惑にはならないからだ。では、なにが問題となったのか?

 アニメやゲームなどを実写化した“2.5次元モノ”の舞台では、注意書きに書かれてはいなくても、観客サイドの暗黙のルールとして、コスプレをNGとする風潮がある。着替えのためにトイレが専有されかねないことも、ひとつの理由だ。ならば、着替えてから来場すれば問題ないのかというと、そうでもないらしい。

 端的に言ってしまえば、「配慮」の問題だ。ひとつは、演者への配慮。結婚式や披露宴で、純白のドレスがマナー違反となることを考えれば分かりやすいだろう。そしてもうひとつは、周囲の観客への配慮だ。こちらが、少々難しい。

 2.5次元モノの舞台の客席には、「オタク」が多いことも関係しているだろう。おそらく、作品そのものだけを鑑賞しに来ている人は、「周囲への配慮」としてのコスプレNGを、今ひとつ理解できないはずだ。なにひとつ迷惑を被らないし、さほどの不快を感じないからだ。それどころか、「熱心なファンだ」と感心するかもしれない。

 しかし、作品はもちろん、演者に強い興味・執着を持って会場へやってくる観客も2.5次元モノには多い。いわゆるオタク層、もしくはオタク気質のある彼ら彼女らは、演者に好意を持つあまり、演者からも好意を持って欲しいという願望を抱きがちである。そして、演者から好意を持たれた(ように見える)他者には、強い嫉妬心を持つ。

 そんななかでの「コスプレ観劇」は、「目立とう精神」「抜け駆け」のように映ってしまうのだ。確かに、オタク系の観客が演者の視線をもらいたいがために我が我がと奇抜な恰好をしてきたら、収拾のつかないことになりそうだ。そういった意味では、暗黙のルールとして、お互いに牽制しあうのも有りかもしれない。今回、でんぱ組の3人が批判を受けたあとすぐに謝罪ツイートなどをしたのも、日頃、ステージに立ちながら、そうしたオタクならではの願望や嫉妬心を肌で感じているからだろう。

 アイドル現場でも、マナーや迷惑行為が物議を醸すことは多い。舞台鑑賞よりも観客の自由度が高い分、行動の好みやマナーの解釈が十人十色で、なにを「迷惑」と規定するのかが非常に難しい。それゆえに、物議を醸しがちである。

 暴力行為など、一般的に迷惑・不快と感じることは分かりやすいし、運営側も対処しやすい。難しいのは、一部の者にとっては「観覧スタイル」や「盛り上げ」である行動が、別の者にとっては「迷惑」となる場合だ。代表的なもののひとつが「ジャンプ」だ。

 音楽のリズムに合わせて小さく跳ねる、ポゴダンス的な縦ノリはロック系のライブでも古くから親しまれているが、アイドル現場での「ジャンプ」は、それとは趣きが異なる。リズムにはまったく合わせない。ただ単に、推しメンのパートや高まったときなどに、高く連続ジャンプする。「推しジャン」「マサイ」などと呼ばれ、音楽に乗るというよりも「自己アピール」の要素が強い。

 こうしたジャンプ行為を禁止するグループは増えてきている。「後方からの視界を奪う」「着地したときに人の足を踏む」など、他者にとっての“実害”があるからだ。目の前の客が「マサイ」をしたため、ステージがまったく見えなくなった経験を持つアイドルファンは多いだろう。演奏を聴くだけでなく、姿を見ることが欠かせない要素であるアイドルのステージにおいて、視界の遮断は紛れもない「迷惑」だ。

 昨年3月には、アイドリング!!!のパフォーマンス中に禁止されていたジャンプ行為をする者がいたため、演奏が一時中断されるひと幕も。こうした流れのなか、観覧スタイルとしてジャンプは下火になりつつある。

 ショッピングモールやCDショップなど屋内で行われるイベントでは、会場側からジャンプを禁止されることも、最近は多くなっている。振動や騒音の問題が禁止の理由だが、同じようにMIXやコールなどをNGとするスペースも増えている。長く「アイドルイベントの聖地」とされてきた池袋・サンシャインシティ噴水広場もそのひとつだ。クラシックコンサートを鑑賞するのと異なり、さまざまなスタイルで応援し、盛り上げることができるのが、アイドル現場の大きな魅力だ。アイドルのライブでしか作り出せない一体感も、確かにある。また、そうした魅力や一体感は、ファンが自発的に楽しめる、自由度の高い環境があったからこそ作られたのも事実だ。

 とはいえ、周囲の客や会場、運営などに実害を及ぼしているにもかかわらず、「これが俺のスタイルだから」「好きにやればいい」と我を通すのは、勝手気ままにゴミをポイ捨てするのと変わりない。アイドル現場に禁止事項が増えていくのは必定だ。

 アイドル現場の楽しさを残していくためにも、やはり「配慮」が必要ということだろう。

【リアルライブ・コラム連載「アイドル超理論」第34回】

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