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初の3ジャンル出荷減 税一本化が加速させるビール離れ

 「とりあえずビール!」は今や死語だ。巷で言われている若者の酒離れだけでなく、中年男性のビール離れも著しい。理由の一つとして挙げられるのは、痛風の原因とされるビールに含まれるプリン体を気にして、ハイボールに移行する層が急増していることだ。
 「1月16日にビール大手5社が発表した2016年のビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の国内総出荷量は、前年比2.4%減の525万キロリットルとなり、1992年の集計開始以来、12年連続で過去最低を更新しました。各メーカー、主力のビールは新商品の開発に注力したものの、前年比2.0%減の266万キロリットル。減少率トップは発砲酒で同6.8%減、第3のビールも同1.2%減と、ビール類の3ジャンルすべてが初めてそろってマイナスに転じた」(食品業界紙記者)

 メーカーの営業マンや街の居酒屋の声はどうか。
 「ハイボールやサワーは原価が安く利益が出る。ハイボールをイチ押しにする飲食店が増えています」(大手飲料メーカー)
 「ウチの店では“飲み放題”を選ぶ客が減っています。一方で、ソフトドリンクしか頼まないグループが増えました」(飲食店経営者)

 ビール各社は、2020年度から始まるビール類の税額一本化を見据え、ビールを強化する戦略に動き始めている。
 「発泡酒や第3のビールが販売数量の約6割を占めるサントリーは死活問題になりかねません。危機感から、いち早くビール強化に動いています」(前出・記者)

 日本のビール税率はアメリカやヨーロッパ諸国より高く、現在、350ミリリットル缶で77円、麦芽比率25%未満の発泡酒が47円、第3のビールが28円となっている。税制改正によりビール類の酒税が約55円に一本化すると、ビールの価格が値下がりする一方で発砲酒や第3のビールの価格上昇は免れず、ビールよりも値上がりする可能性もある。
 「家飲みでは第3のビールにしていたのに、今さら値上げなんてひどい話ですよ」(40代男性)
 こんな嘆きの声がある以上、出荷量の前年割れは永遠に続くに違いない。

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