「旦那さんの同意を得ていない主婦は確かに多い。ウチでは原則として、収入のない専業主婦はお断りしています。旦那さんの同意が得られたとしても、旦那さんの収入を把握するだけで審査や事務作業が煩雑になるからです。専業主婦に需要があるのはわかっていますが、そこまで手が回りません」(消費者金融関係者)
収入のない主婦が人知れずカネを借りることができるのは、配偶者の同意書を提出する必要のない、いわゆる“ヤミ金”だけだ。
「主婦はいいカモみたいです。旦那さんに内緒だと、どんな事をしてでも、ちゃんと返済してくれますから。今は熟女も需要があるので、その気になれば、風俗や水商売でも働けますしね」(非合法ビジネスに詳しいジャーナリスト)
しかし、ヤミ金の実態については、「一般に伝えられているイメージとは随分違う」という。
「ヤミ金が法外な利息を取るのはその通りですが、取り立てが苛烈でしつこいというのは、ちょっと違います。彼らはたった数万円の取り立てにそんな手間はかけません。回収がムリだと思ったら、次に当たるのが鉄則です。一つの案件に固執するよりも、より確実な回収を数多くこなした方が儲かるからです。だから、弁護士や警察が出てきて面倒な問題が起きると、割と簡単に手を引いてしまう。違法とはいえ彼らもビジネスですから、つぶされるのは困るのです」(同)
さらに、【借りにくくなった→ヤミ金が増えた】というマスコミの論調にも、違和感を覚えるという。
「2010年6月の改正貸金業法の完全施行後、ヤミ金が跋扈しているという人がいますが、実はヤミ金が増えているという“正確”なデータはどこにもないのです」(同)
どういうことか−−。
日本経済新聞が今年2月に『ヤミ金利用が増加。法改正で「正規」の借金難しく』という見出しの記事を掲載した。この根拠となっているデータは、日本貸金業協会、つまり業界団体調査のものだ。
また、東京情報大学・堂下浩教授の『ヤミ金融の利用に関する調査』というのもある。同教授の調査報告は、早稲田大学クレジットビジネス研究所(通称、サラ研)という団体のサイトからダウンロードできるが、それによると、ヤミ金被害者を'11年7月時点で約58万人と推定。'09年5月の約42万人、'10年7月の約56万人から増加傾向が続いているとしている。
この堂下教授の調査も、日本消費者金融協会という団体から調査分析を依頼されたもので、同協会会長はアコムの木下盛好社長。日本の主な消費者金融会社で構成される団体なのである。
日経記事のデータにしろ、サラ研の調査報告にしろ、とても中立的なものとはいえず、“正確”ではないということなのだ。