岸田外相は4月25日午前の閣議で、2017年版外交青書を報告した。
北朝鮮による核・ミサイル開発について、「新たな段階の脅威で、北東アジアと国際社会の平和と安全を著しく損なう」と厳しく非難。米、韓、国、露などと協力し、挑発行動の自制と国連安全保障理事会決議の順守を求める方針を示したものだ。
この緊迫した状況の中で、ゴールデンウイークの韓国路線予約数は日本航空、全日空ともに前年同期比約25%増で、半島危機の影響は全く見られない。
その韓国では、日本の連休明けの5月9日に大統領選が行われる。一時は、北朝鮮に対し融和的な文在寅(ムン・ジェイン)候補では北朝鮮を抑え切れず、存亡の危機へと向かわせるのでは、との危機感から、文候補を猛追する安哲秀(アン・チョルス)候補が支持率を逆転する勢いを見せた。
「文候補は学生時代から左翼活動家としてならし、逮捕歴もある。卒業後は人権派弁護士として活躍し、左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代は秘書室長を歴任しています。2012年の大統領選では僅差で朴権恵前大統領に敗れていますから今回は雪辱戦ですが、一方で日本への姿勢は病的なほど厳しく、戦後の反日教育に洗脳されたまま。すでに両国間で解決済みの従軍慰安婦問題を再び持ち出し、日本の謝罪と賠償金を求めるという公約を掲げています。THAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備を見直すなど発言は国際法を無視していますから、韓国の朝鮮日報紙からは『反米ごっこはやめろ』と警鐘を鳴らされています」(大手通信社元特派記者)
これに対し安候補は、特にTHAAD配備に関して「合意を守るべきである」と現実路線を鮮明にしている。国連事務総長だった潘基文(パン・ギムン)支援グループも安支持に回ったことで“文在寅一強”が崩れている格好だが、外交ではリアリストである安候補も反日姿勢は濃厚だ。
「慰安婦問題での日韓政府間合意については『生存している当事者たちとの合意を基に見直すべき』とし、慰安婦像が釜山の日本総領事館前に設置された問題でも『撤去を条件に大使を帰国させた行為は理解できない』と日本政府を批判しています」(同)
ただし、これらは韓国メディアの受け売りで独自性がなく「とても元大学教授とは思えない」などの嘆きの声も聞こえているという。
「実はこの機に乗じて中国が『中露韓で日本の領土要求を断念させる反日統一共同戦線を形成しよう』と呼び掛けています。つまり『尖閣』『北方四島』『竹島』の領有権を日本から完全に奪おうとの魂胆です。その意味で、韓国大統領選は“日中戦争”の一環と言えるのです」(国際ジャーナリスト)
日本にとっては厄介極まりない事態だ。しかし、「新たな段階の脅威」と言われる状況の中でソウルが火の海になるより、慰安婦問題や領土問題のほうを優先させるのか?
まったくもって不思議な国だ。