松坂屋銀座店は、売上高でこそ後発の銀座三越、松屋銀座の後塵を拝しているものの、老舗だけに昔からの“お得意さん”が数多くいる。だからこそ、最寄りのJR有楽町駅周辺の阪急やルミネ、プランタン銀座などもこぞって、この4年間を“切り崩し”のチャンスと捉えている。
むろん、松坂屋も手をこまねいてはいない。銀座店を利用していた顧客には、松坂屋上野店や同系列の大丸東京店で割引サービスするなど“つなぎとめ作戦”を実施する構えだ。
「とはいえ、やはり4年間の空白は長い。今や一帯は日本一の商業激戦地です。根っからの松坂屋ファンだからといってジッと再開を待つとは思えません。松坂屋を外商で利用していた企業の大半は“銀座の老舗ブランド”だからこそ重宝していた。百貨店である限り、それこそ“お隣り”の商品が大きく変わるわけではないのですから」(関係者)
工事が異例の長期間に及ぶ理由は、場所が銀座のド真ん中に位置し、買い物客や交通への影響を考慮しなければならないためだ。地上13階、地下6階の複合ビルに生まれ変わり、うち地上6階・地下2階部分が松坂屋の入る予定の商業施設で、その床面積は銀座三越を抜き、この界隈では最大規模となる。前出の関係者は、こう苦笑する。
「晴れて再オープンにこぎ着けたはいいが、広い店内に閑古鳥が鳴いていたら天下の笑いものになる。松坂屋を経営するJ・フロントリテイリングは『松坂屋が入居するかどうか決めていない』と予防線を張るくらいですから、まさにこの4年間が勝負です」
安倍首相が唱えている「年収150万円増」が実現されれば、それほど心配する話でもなさそうだが…。