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出光の昭和シェル買収で始まる石油元売り業界再編の内幕

 出光興産が昭和シェル石油の買収に乗り出した。石油元売り2位と5位の組み合わせで、ガソリン販売シェアではトータル30%に達し、5年前に新日本石油と新日鉱ホールディングスが合併して誕生した業界トップJXホールディングスの34%を射程圏に捉える。
 出光は東燃ゼネラル石油にも連携を呼び掛けている。東燃は連結ベースの売上高こそ業界4位とはいえ、ガソリン販売シェアは出光(14%)や昭シェル(16%)を上回る18%に達し、2位にランクされる。もし東燃が出光=昭シェル連合に参加すればシェアは単純計算で48%となり、一気に日本一へ躍り出る。

 もう一つ目が離せないのがシェア約11%のコスモ石油だ。もしコスモがJX傘下に入ればトータルシェアは45%に達し、出光+昭シェル+東燃連合と拮抗することになる。ところがコスモは東燃と新年早々、千葉県市原市で隣接する製油所をパイプラインでつなぎ、生産効率向上に着手した。これは事実上の製油所統合に他ならず、従って東燃が出光=昭シェル連合に加わる場合はコスモがJXと組む可能性は極めて低い。
 「とはいえ、東燃を介してコスモが出光連合に走れば、この4社トータルの市場シェアは59%にまで拡大し、JXを圧倒する。独禁法に目を光らせる公取委はもちろん、監督官庁の経済産業省が首を縦に振るわけがない」(担当記者)

 それも当然。出光による昭シェル買収の仕掛け人こそ、経産省なのだ。
 「エコカーの普及でガソリン需要は落ち込んでおり、中長期的には石油元売り会社の経営が厳しくなる。規模拡大による原油買い付けコスト削減や事業の海外シフトを後押ししたい経産省だが、業界トップJXの屋台骨を揺るがしかねない東燃=コスモの出光相乗りは、さすがに容認しない」(同)

 “事実婚状態”の東燃とコスモが合併すれば市場シェアは計29%。これならば出光=昭シェルやJXと肩を並べる計算になる。役所の落としどころとしてはベストだろうが、業界再編のシナリオだけに、このまま“すんなり”とも思えない。

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