「こういう店の全ての客は紹介制で、高額所得者や経営者同士などの横のつながり、あるいは高級クラブのホステスや高級風俗店などの上客を抱えた“キャッチ”や、マージャン店経営者を通して店を紹介される。むやみに客を増やしても摘発の危険性は増すだけだし、高額掛け金を継続的に使える客をいかにつかまえるか。そいう客を紹介してくれるルートをいくつ持っているかが集客のカギになる」(闇賭博に詳しいライター)
現在、闇バカラ店は都内だけで40件余。最も集中するのは新宿・歌舞伎町で、銀座、渋谷、池袋、上野といった繁華街にそれぞれ数件ずつ存在しているという。
“余”というように数が曖昧なのは、摘発されたり、警察の目を逃れるために閉店、移転を繰り返しているためだ。
「石原浄化作戦でバカラ店の数はだいぶ減った。中には経営に行き詰まり、サラリーマンにも敷居の低いインターネットカジノや闇スロットへ業務転換する店も多い」(前出・風俗事情通)
ネットカジノは5、6年前に登場。テーブルとパソコンだけで手軽に開業できるため、最近は一般人が500万〜1000万円で暴力団から権利を買い取るケースが多い。店はフィリピンなどのカジノサイトと契約し、1ポイントを50円で買い、これを2倍の100円で売ることで利ざやを稼いでいる。実際に新宿で店を経営しているA氏に聞いた。
「ネットカジノは海外サイトに接続するので法律的にグレーゾーンとなり、普通の人が自宅のパソコンでやってもまず逮捕されない。ただ、勝負に勝っても海外から小切手が送られてくるのに数週間かかる。その点、闇のカジノ店は、その場で店側がカネを立て替えて払うから人気がある。また、パチンコ屋が閉まった深夜に営業している闇スロット店も客足は多いようだ。今は規制で置けない“爆裂タイプ”の機種で遊べるからだろう。店の運営を暴力団が直接やっているところはまれで、ほとんどが、もともと風俗店をやっていた連中の“商売替え”だね」
浄化作戦は表向き成功しているように見えるが、人間の持つ博打性までは浄化できていないのだ。